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日本在住者におけるトキソプラズマ症の現状と予防法は?

No.4975 (2019年08月31日発行) P.46

吉村幸浩 (横浜市立市民病院感染症内科医長)

保科斉生 (東京慈恵会医科大学感染症科)

登録日: 2019-09-03

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  • 日本在住者におけるトキソプラズマ症の現状と予防法について,ご教示下さい。
    東京慈恵会医科大学・保科斉生先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    吉村幸浩 横浜市立市民病院感染症内科医長


    【回答】

    【免疫不全者,妊婦は注意が必要。調理不十分な食肉には注意】

    トキソプラズマ症は原虫Toxoplasma gondiiの感染に起因します。T. gondiiは世界中に分布し,ヒトを含む多くの温血動物に感染することが知られています。ネコ科の動物を終宿主,哺乳類や鳥類を中間宿主とし,全人口の約1/3がトキソプラズマに感染していると推計されています1)

    感染は,無症候性やサブクリニカルなパターンが多い反面,感染が一度成立すると,脳や筋肉にブラディゾイト(緩徐分裂虫体)が慢性的に感染し,数十年単位の長期間にわたり感染が持続することが知られています2)

    ヒトへの感染経路は,猫の糞便中に排出されるオオシスト(囊子)により汚染された環境(土壌,水など)からの感染,および感染した家畜由来の食品関連感染,の2通りです。

    従来より猫との接触や,調理不十分な食肉の摂取がリスクとして考えられていますが,飼猫の飼育形態の変化や,家畜動物の飼育環境改善に伴い,国内での感染リスクは低下傾向にある可能性があります。

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