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トキソプラズマを含めたイヌやネコからの感染症

No.4969 (2019年07月20日発行) P.55

今井一男 (埼玉医科大学感染症科・感染制御科非常勤講師)

前﨑繁文 (埼玉医科大学感染症科・感染制御科教授)

登録日: 2019-07-18

最終更新日: 2019-07-16

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【ペットブームに潜む感染症。ウシ・ブタ・ニワトリなどの生食にも注意】

イヌやネコから感染する人畜共通寄生虫症としては,ネコ回虫症・イヌ回虫症によるトキソカラ症やトキソプラズマ症が知られている。これらの疾患は終宿主であるイヌやネコの糞便に含まれる幼虫包蔵卵(ネコ回虫・イヌ回虫)やオーシスト(トキソプラズマ原虫)を経口摂取し,感染すると考えられてきたが,現在では,待機宿主であるウシ・ブタ・ニワトリなどの生肉の摂取により感染する食品媒介感染の側面が強い。そのため,これらの疾患を疑った際には,イヌやネコの飼育歴・接触歴のみならず,生肉の摂取歴についても聴取する。

トキソプラズマ症は,妊娠中に初感染すると経胎盤的に胎児に感染し,流産または先天感染を引き起こすことで知られる。初感染時には発熱・リンパ節腫脹など有症状のこともあるが,多くの患者は無症候性である。妊娠中のトキソプラズマ症の診断には,感染時期の推定が最も重要である。

現在,広く利用されている抗IgM抗体は,急性期の診断に有用と思われがちだが,感染後長期に持続することが知られており,抗IgM抗体の有無のみでは感染時期は推定できない。初感染の診断には,PCRによる原虫遺伝子の直接証明や抗IgG抗体アビディティ検査が有用である。

【参考】

▶ Akao N, et al:Parasitol Int. 2007;56(2):87-93.

【解説】

今井一男*1,前﨑繁文*2  埼玉医科大学感染症科・感染制御科  *1非常勤講師 *2教授

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