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HIV感染対策の課題と最新治療とは?(岡 慎一 国立国際医療研究センターエイズ治療・研究開発センター長)【この人に聞きたい】

No.4963 (2019年06月08日発行) P.8

岡 慎一 (国立国際医療研究センターエイズ治療・研究開発センター長)

登録日: 2019-06-06

最終更新日: 2019-06-05

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検査のハードルを低くするとともに
HIV曝露前予防薬の薬事承認実現へ
目指すは「日本でのHIV新規感染者ゼロ」

おか しんいち:1957年生まれ。82年徳島大卒。米国NIH/NIAID客員研究員、東大医科学研究所感染症研究部助教授、国立国際医療研究センターエイズ治療・研究開発センター部長などを経て、2006年より現職。熊本大エイズ学研究センター客員教授併任

先進国では減少傾向にある新規HIV感染・AIDS発症者は、日本では毎年1300~1500人のほぼ横ばい。3割はAIDSを発症した段階で見つかっている。HIV対策の課題と最新治療について、国立国際医療研究センターエイズ治療・研究開発センター長の岡慎一氏に聞いた。

HIV検査のハードルが高い

─日本でHIV感染者、AIDS発症者が減らないのはなぜですか。

一番は、HIVに対する差別が根強く、検査を受けるハードルが高いからです。保健所で無料で検査が受けられるといっても、知り合いに会うから行きにくいという地域もあります。HIV感染で見つかるより、AIDS発症者の人数が多いところもあるくらいです。

治療の進歩で、HIV感染症の段階で見つかれば、非感染者と同程度の余命が期待できるようになりました。しかし、放置すれば100%AIDSを発症します。

AIDS関連23疾患のうち、悪性リンパ腫を発病すると一般的な治療が効かず死亡率が高いのが現実です。また、進行性多巣性白質脳症(PML)になると、HIV治療が功を奏しても重度の認知症になり、特に20代~30代なら介護施設などに入るのも困難です。

この10年、HIV感染者数もAIDS発症者数も減っていないということは、今までの対策が有効ではない証拠です。HIVの感染から発病まで6~10年以上の潜伏期間がありますので、本人が気づかないうちに感染を広げている恐れもあり、社会的問題です。

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