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ダニアレルギー対策として布団の天日干しは正しい方法か?

No.4951 (2019年03月16日発行) P.60

福冨友馬 (国立病院機構相模原病院臨床研究センター 診断・治療薬開発研究室室長)

登録日: 2019-03-17

最終更新日: 2019-03-12

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天気の良い日(快晴の日)に寝具,特に布団を干すことが一般的に行われていますが,アレルギー対策の視点からそのメリット・デメリットについてご教示下さい。

(山梨県 K)


【回答】

【天日干しにデメリットはないが,掃除機掛けのほうが重要】

ダニアレルギー対策の視点からすると,最も重要なのは寝具の掃除機掛けです。一般に1m2に対して20秒以上かけてゆっくり吸引するのが良いとされています。寝具の天日干しで寝具の湿気を抑えることはできますので,天日干しにはある程度メリットがあると言えます。しかし,それには,ダニを死滅させるほどの効果はありません。また,アレルゲンとなるのはダニの死骸や排泄物ですので,ダニを死滅させるだけでもアレルゲン対策としては不十分です。したがって,寝具のダニアレルゲン対策としては,布団カバーは週に1回以上丸洗いし,布団は週に1回以上天日干しした後,布団表面の掃除機掛けを行う,というのが基本となります1)

ダニアレルギー対策として,布団の天日干しには特にデメリットはありません。しかし,干したときに布団たたきなどを行い,その後に掃除機掛けをしなかった場合は,ダニアレルゲンが舞い上がりやすくなり,むしろ逆効果であると言われています。

一方,ダニアレルギーではなく,重度の花粉アレルギーがある患者の場合は,原因花粉が多い日に布団の天日干しを行うと,布団に花粉が付着して花粉症が悪化する可能性があるので,避けたほうがよいとされています2)。指導の対象となる患者が,ダニアレルギーが強いのか,花粉アレルギーが強いのか,なども考慮しながら,ご指導頂くとよいと思います。

【文献】

1) 谷口正実, 他, 監:吸入性アレルゲンの同定と対策. メディカルレビュー社, 2014.

2) 鼻アレルギー診療ガイドライン作成委員会, 編:鼻アレルギー診療ガイドライン─通年性鼻炎と花粉症─2016年版(改訂第8版). ライフ・サイエンス, 2015.

【回答者】

福冨友馬 国立病院機構相模原病院臨床研究センター 診断・治療薬開発研究室室長

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