アレルギー性気管支肺真菌症(allergic broncho-pulmonary mycosis:ABPM)は,気道内に定着した真菌に対して,宿主からの2型免疫反応が起こることにより病態が形成される。原因真菌としてはアスペルギルスが多い。
わが国のABPM研究班の診断基準では,①喘息の既往あるいは喘息様症状,②好酸球数増多,③血清総IgE値上昇,④糸状菌特異的IgE陽性,⑤沈降抗体あるいは特異的IgG陽性,⑥喀痰・気管支洗浄液で糸状菌培養陽性,⑦粘液栓内の糸状菌染色陽性,⑧CTで中枢性気管支拡張,⑨粘液栓喀出または粘液栓の所見あり,⑩CTで粘液栓の濃度上昇,の10項目中6項目以上を満たす場合にABPMと診断する。
薬物療法が中心となり,経口副腎皮質ステロイドとアゾール系経口抗真菌薬投与が標準治療である。経口ステロイドは,喘鳴などの臨床症状を軽減させるほか,血中好酸球や出現した陰影の改善などを認める。近年,抗真菌薬単独治療が経口ステロイドと比較して,効果発現にやや時間がかかるが,ほぼ同等の効果を示すことも報告されている。しかし,本疾患は喘息症状を合併していることが多いため,経口ステロイドが第一選択薬となる。ステロイド長期投与の際には,緑膿菌や非結核性抗酸菌症などによる慢性気道感染症や,抗真菌薬では耐性真菌の出現に注意する。
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