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災害医療の進化と今後の課題(小井土雄一 日本災害医学会代表理事)【この人に聞きたい】

No.4950 (2019年03月09日発行) P.8

小井土雄一 (日本災害医学会代表理事)

登録日: 2019-03-07

最終更新日: 2019-03-06

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日本の災害医療は平成の時代に起きた大災害の
対応策を作ることで進化してきた
課題は医療・保健の協働と医療職以外との多機関連携

こいど ゆういち:1984年埼玉医大卒後、日本医大救急医学教室入局。2008年国立病院機構災害医療センター臨床研究部長、10年厚生労働省医政局災害医療対策室DMAT事務局長併任。18年4月より現職。防災学術連携体副代表幹事

数々の自然災害を経て進化した災害医療のこれまでと今後の課題を日本災害医学会代表理事の小井土雄一氏に聞いた。

阪神・淡路大震災後に拠点病院整備、DMAT創設

─阪神・淡路大震災や東日本大震災などを経験して、日本の災害医療はどう変わったのでしょうか。

昭和の時代は、1959年(昭和34年)の伊勢湾台風以降は幸いなことに日本で大きな自然災害がほとんど起きなかったため、日本の災害医療の歴史は国際支援から始まっています。79年にタイに集まったカンボジア難民に対して世界各国が医療支援チームを派遣し、日本も、今では災害医療の父といえる山本保博先生(東京曳舟病院長)が第一陣で支援に入りました。その後も国際災害への支援を続けてノウハウを積み重ねていた中、95年1月17日、阪神・淡路大震災が発生しました。この教訓をもとに、初めて国全体で災害医療体制を構築することになるのです。

1.17の教訓は災害医療における超急性期対応の重要性です。この経験を踏まえ、災害拠点病院が整備され、災害急性期の医療を担うDMAT(災害派遣医療チーム)が創設され、広域医療搬送計画や広域災害救急医療情報システムが作成されました。日本災害医学会の創設も1995年です。

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