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(3)糖尿病性腎臓病(DKD)の管理・治療戦略─糖尿病専門医の立場から

No.4944 (2019年01月26日発行) P.44

金澤昭雄 (順天堂大学大学院医学研究科代謝・内分泌内科学准教授)

綿田裕孝 (順天堂大学大学院医学研究科代謝・内分泌内科学教授)

登録日: 2019-01-28

最終更新日: 2019-01-23

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糖尿病性腎臓病(DKD)の管理には血糖のみならず,肥満,高血圧,脂質異常症,高尿酸血症などの様々なリスク管理が必要である

DKDが進行すれば蛋白制限食が推奨されるため,栄養指導の見直しが必要となる

腎機能が低下すれば,糖尿病の治療薬の選択も制限されるため,腎機能を考慮した薬剤の選択が必要となる

1. 糖尿病の治療にはリスクの集学的な管理が必要である

糖尿病性腎臓病(diabetic kidney disease:DKD)の成因は高血糖が主ではあるが,高血圧,脂質異常症,高尿酸血症,肥満などの様々な因子が関与することが想定されるため,DKDの管理・治療戦略として,これらの集学的な管理をめざす必要がある。海外の研究ではあるが,微量アルブミン尿を呈する2型糖尿病患者において,複数の薬物療法や生活習慣の是正などの多面的な強化介入を約8年間行うと,従来の治療に比べて死亡リスクが減少する「Steno-2研究」が報告されている1)。日本糖尿病学会が発行する糖尿病治療ガイドラインにおいても,糖尿病治療の目標とは,「血糖,体重,血圧,血清脂質の良好なコントロール状態の維持,糖尿病細小血管合併症および動脈硬化性疾患の発症,進展の阻止をめざしながら健康な人と変わらない日常生活の質(QOL)の維持,健康な人と変わらない寿命の確保」と明記されている(図1)2)。このことは,糖尿病診療におけるリスクの集学的な管理の重要性を意味し,糖尿病患者の寿命の確保には細小血管合併症であるDKDの発症,進展阻止は必須と言える。

 

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