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■NEWS 時間外労働上限案に医療団体代表は概ね「現実的」、労組代表は「容認できず」

No.4944 (2019年01月26日発行) P.21

登録日: 2019-01-22

最終更新日: 2019-01-22

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今年3月の取りまとめに向け、2024年4月から適用される勤務医の時間外労働規制を検討している厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」は21日、前回(11日)に引き続き、規制の上限水準について議論した。

厚労省は現在、全ての診療従事勤務医に適用する上限水準(A)を「年960時間/月100時間」、地域医療を維持するための暫定的特例水準(B)を「年1900~2000時間/月100時間」と提案し、集中的な技能向上を要する医師を念頭に置いた特例(C)も別途設けるとしている。B・Cは医療機関を特定して適用し、長時間勤務者への面接指導や追加的健康確保措置の実施を義務づける。

厚労省案を巡り、医療団体幹部や現場の勤務医を代表する立場の構成員からは「現実的な案」として概ね理解を示す声が上がった。今村聡構成員(日本医師会)は「勤務医の労働時間をなるべく早く一般労働者と同水準まで下げることが重要。違反に対する罰則の適用範囲が明確になれば現場も安心でき、上限をもっと低くできるかもしれない」と指摘した。一方、労働組合を代表する村上陽子構成員(日本労働組合総連合会)らは、特にBの水準を問題視し、「現段階で容認できない」と難色を示した。

検討会の岩村正彦座長(東大大学院法学政治学研究科教授)は議論の終了間際、勤務医の労働時間短縮には「連続勤務の規制と勤務間インターバルの確保が最も効果的だと思う」との私見を述べた。検討会では「産業医が機能している医療機関が非常に少ない」など、追加的健康措置の実効性を懸念する意見も複数上がっており、上限水準と並んで2月以降の検討課題となる見込みだ。

時間外労働規制が医師の行動だけでなく、医療機関の経営にも影響を及ぼす点にも言及した岩村座長(右)

 

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地域医療確保の特例水準、上限「年1900~2000時間」に賛否―医師の時間外労働規制
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