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古くて新しい麻疹対策とは(椎木創一 沖縄県立中部病院感染症内科副部長)【この人に聞きたい】

No.4933 (2018年11月10日発行) P.8

椎木創一 (沖縄県立中部病院感染症内科副部長)

登録日: 2018-11-08

最終更新日: 2018-11-07

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曝露者を増やさないために重要なことは
臨床現場の前線にいる医師が「麻疹かも」と疑うこと
麻疹対策は新型インフルエンザ対策にもつながる

しいき そういち:2000年千葉大卒。市立舞鶴市民病院、沖縄県立宮古病院、国立病院機構大阪医療センターを経て、2007年沖縄県立中部病院。18年東北大院非常勤講師

2015年に日本は麻疹の排除状態にあると世界保健機関(WHO)から認定を受けたものの、現在も麻疹の散発的な流行が発生している。今春、沖縄県で発生した麻疹の流行に対応した椎木創一氏に、今回の経験を踏まえ、古くて新しい感染症である麻疹の対策について聞いた。

─今春沖縄で報告された99人の患者のうち、3月に報告された1例目の患者は中部病院で治療を受けています。どのように対応されたのでしょうか。

1例目の患者さんは台湾からの旅行者で、発熱、発疹があり当院を深夜に訪れました。最初に診療した研修医は麻疹患者を診た経験がなく、「よく分からない発熱」と救急医に相談し、救急医が麻疹と診断しました。こう話すとスムーズに診療が行われたように聞こえるかもしれませんが、実はいろいろな幸運が重なっています。

まず、受診時間が深夜で待合室に患者さんが少なかったこと、さらに、研修医から相談された救急医が診察の際に「麻疹かも」と疑ってくれたことで、その後は陰圧室でお待ちいただく対応をとれたことが、院内で曝露者が少なかった大きな要因です。

私は感染症の専門医ですが、私がしたことといえば、朝になって麻疹の確定診断をしただけ。麻疹を早期に診断し、曝露者を増やさないために重要なのは、臨床現場の前線にいる内科医、小児科医、救急医、研修医といった感染症の非専門家が「麻疹かも」と疑うことなのです。そのためには、「麻疹患者はウチには来ない」という幻想を捨てることが必要です。

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