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先天性腎盂尿管移行部狭窄症に対する体腔鏡下腎盂形成術

No.4933 (2018年11月10日発行) P.54

小原健司 (新潟大学泌尿器科講師)

登録日: 2018-11-11

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【ロボット支援下手術の広がり】

先天性腎盂尿管移行部狭窄症は,腎盂尿管移行部の先天的な通過障害のため腎盂腎杯が拡張し,水腎症を呈する疾患である。尿路感染症や腎機能障害を伴う場合は手術適応となる。生後間もない乳児から幼小児期の患児が対象となる場合が多いが,それ以降でも間欠的な通過障害のために側腹部痛や嘔吐などの消化器症状を伴って発見され,手術適応となる患者もみられる。

腎盂形成術は,通過障害のある部分を切除してスムーズに流れるように形成する手術だが,ほんの数年前までは学会でも,開腹手術と従来の体腔鏡手術の比較がなされていた。開腹手術では,約3cmの側腹部横切開で筋層はmuscle stripで開いて後腹膜を展開し腎盂尿管移行部に至る。術者も助手も拡大鏡を用いて狭窄部を切除し,7-0あるいは6-0吸収糸で吻合する。

一方,体腔鏡手術では,3~4本のポートを使用して腹腔あるいは後腹膜アプローチで腎盂尿管移行部に至る。術式は開腹の場合と同様だが,高度な吻合技術が要求される。手術成績に関してはほぼ同等との報告が多いが,体腔鏡手術では,開腹手術と比較すると手術時間は長くかかる。da Vinci®システムによるロボット支援腹腔鏡下手術は現在,わが国では前立腺摘除術と腎部分切除術が保険で認められ,腎盂形成術に適応はないが,わが国でも徐々に行われつつある。ロボット支援手術では腹腔鏡下手術よりもはるかに容易に,より緻密な吻合が可能であり,微細な縫合技術が要求される腎盂形成術においてロボット支援下手術が従来の体腔鏡手術に取って代わるのも時間の問題かもしれない。

【解説】

小原健司 新潟大学泌尿器科講師

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