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■NEWS 「災害」は地域包括ケアシステム構築の重要な要素―日医・中川副会長

No.4926 (2018年09月22日発行) P.20

登録日: 2018-09-13

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日本医師会の中川俊男副会長は6日に発生した北海道胆振東部地震を受け、「地域包括ケアシステムを構築する上で、災害がより重要な要素として検討課題になる」と強調した。12日の定例会見で発言した。

札幌市内の病院で理事長を務める中川氏は、「日本医師会や北海道医師会、苫小牧医師会の最終的な使命は被災地に地域医療、地域包括ケアシステムを取り戻すこと」と指摘。「全国の都道府県医師会とも緊密な連携をとり、現地の状況を見ながら必要な支援をしていく」と述べた。

中川氏は、道内全域で発生した停電を問題視。ほとんどの病院では自家発電装置を備えているが、燃料の備蓄状況や、電気が何日持つかなどの課題が浮き彫りになったとして、「こうした災害は全国で発生する可能性がある。停電時の対処について、会内で検討していきたい」との考えを示した。

中川氏はその上で、「地域包括ケアシステムの構築において、災害がより重要な要素として検討課題になる。地域医療構想としても、災害に対する医療提供体制が大きな課題になるのではないか」と述べた。

■JMATは、むかわ町で5チームが活動

日本医師会災害医療チーム(JMAT)の派遣状況については、石川広己常任理事が説明した。発災翌日の7日には、長瀬清北海道医師会長をリーダーとした「先遣JMAT」が派遣された。先遣JMATとは、災害発生直後に出動し、JMAT派遣の必要性や被災地で求められる機能などを把握し、日医に情報提供するチームのこと。12日現在、避難所で避難生活を送っている人が多いむかわ町に5チーム派遣しているという。これまで派遣されたのは医師8人、看護職員6人、薬剤師3人など計26人。チームはすべて被災地医師会で編成した。

石川氏は、先遣JMATの派遣により状況の把握が迅速にできたことを報告。今後、被災地から先遣JMATを派遣できない場合の対応の仕方についても検討するとしている。

中川氏は「新しい発見が多くあった」として、今回の地震の経験を今後の災害医療の強化につなげる姿勢を見せた。

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