【質問者】
中野恭幸 滋賀医科大学呼吸器内科教授
【疾患定義から「炎症」を削除。肺の低成長説など,成因を炎症だけに限定できないため】
今回改訂されたわが国のガイドラインによる慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)の疾患定義では,「たばこ煙を主とする有害物質を長期に吸入曝露することなどにより生ずる肺疾患であり,呼吸機能検査で気流閉塞を示す。気流閉塞は末梢気道病変と気腫性病変が様々な割合で複合的に関与し起こる。臨床的には徐々に進行する労作時の呼吸困難や慢性の咳・痰を示すが,これらの症状に乏しいこともある」と記載されました1)。今回の改訂で“肺の炎症”が削除されました1)。以前までは“肺の炎症”は気流閉塞への進展に関与し,その“肺の炎症”が全身に広がることで,全身性併存症を誘発すると考えられていました。
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