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これからの小児医療が目指すべき姿とは(是松聖悟 中津市民病院副院長)【この人に聞きたい】

No.4917 (2018年07月21日発行) P.8

是松聖悟 (中津市立中津市民病院副院長)

登録日: 2018-07-20

最終更新日: 2018-07-19

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新たな小児医療の課題に立ち向かうためには
行政・福祉・教育との連携が不可欠
地域からさまざまな取り組みの成果を発信したい

これまつ せいご:1991年大分医大卒。同大小児科学講座入局後、NTT九州病院アレルギー科、京大院免疫細胞生物学研究生、山香町立国保総合病院小児科部長を経て、2008年大分大地域医療・小児科分野担当教授。17年より同大客員教授、中津市立中津市民病院副院長

日本小児科学会が掲げる「小児保健・医療提供体制2.0」では、小児医療の新たな課題への向き合い方が示されている。大分県内の地域で実践する是松聖悟氏(中津市立中津市民病院)に話を聞いた。

─「小児保健・医療提供体制2.0」とは。

近年、感染症が減少している一方で、在宅医療やメンタルケア、貧困への対応が求められています。こうした新たな課題に立ち向かうためには小児科医、医師会を含め、行政・福祉・教育の分野と連携すべきというのが学会の提案です。私の取り組みは最小単位ですが、学会にモデルケースとして認められ、学会のシンポジウムで発表の機会を得ることができました。

大分大では県の委託を受け、2008年から過疎地の若手小児科医・産婦人科医のサポートや、子どもを産み育てやすい地域にすることを目的とした事業を始めました。小児科分野の担当となった私は、大分市・別府市を除く、僻地を中心とした市町村の施設を巡回することになりました。昨年度に大学を退職しましたが、今でも活動は継続中で、2カ月に1回ずつ10施設をサポートしています。

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─注力した活動は何ですか。

1つは予防接種です。治療しなくても治る子どもがいる一方で、何をしても治らない子どもも少なくありません。こうした事態を防ぐために重要なのは予防接種ですが、07年の大分県のMRワクチン接種率は79.6%。全国最下位でした。そこで、新聞を利用した市町村別の接種率公表、任意予防接種の無料化推進といった活動を始めました。

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