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異所性脂肪 《メタボリックシンドロームの新常識》

やせているのにメタボ?! 日本人のメタボを考える上で欠かせない一冊

定価:4,104円
(本体3,800円+税)

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編集: 小川佳宏(東京医科歯科大学糖尿病・内分泌・代謝内科教授)
判型: 菊判
頁数: 144頁
装丁: カラー
発行日: 2014年05月18日
ISBN: 978-4-7849-5464-3
版数: 第2版
付録: -

  皮下脂肪・内臓脂肪に次ぐ「第三の脂肪」といわれる異所性脂肪。その「脂肪毒性」が、日本人の糖尿病や脂肪肝、冠動脈疾患の原因として注目されています。€

  日本人は皮下脂肪の貯蔵能が低いために異所性脂肪が蓄積しやすく、「細胞内肥満」の状態になりやすいのです。€

  異所性脂肪の蓄積メカニズムと、メタボリックシンドロームとの関わりを最新の研究にもとづいて解説しました。€

  特定健診・特定保健指導に関わる方々も必読の一冊です。

目次

序章 異所性脂肪とメタボリックシンドローム
異所性脂肪とは
脂肪細胞とは
脂肪細胞とPPARγ
内臓脂肪と皮下脂肪の差異
メタボリックシンドロームとは
メタボリックシンドロームの診断基準と国際的な動向
ウエスト周囲長の基準値をめぐるわが国の議論とエビデンス

第1章 脂肪細胞の生物学
脂肪細胞の大きさと数はどのように決まるか?
内臓脂肪は「異所」性脂肪か?
内臓脂肪と皮下脂肪
アディポサイトカインとは
脂肪細胞毒性(adipotoxicity)とは

第2章 異所性脂肪と糖尿病〈膵β細胞〉
膵臓内脂肪沈着はどのように起こるか?
2型糖尿病の発症様式
肥満症ではなぜインスリン分泌低下が起こる?
異所性脂肪が引き起こすストレス:膵β細胞の死と増殖
小胞体(ER)ストレスとインスリン分泌低下

第3章 骨格筋からみた異所性脂肪と糖尿病
ブレークスルーとなったMRSによる細胞内脂質測定
骨格筋細胞内脂質(IMCL)とインスリン抵抗性
IMCLがインスリン抵抗性を惹起するメカニズム
アスリートパラドックスとは何か?
骨格筋線維の種類や測定部位とIMCL
骨格筋細胞内脂質の変化をもたらすもの
非肥満者においても,IMCLは蓄積するのか?
「脂肪負荷感受性」仮説の検証
臨床的にできるIMCL蓄積の見分け方

第4章 異所性脂肪と肝臓〈NAFLDとNASH〉
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の診断基準
非肥満におけるNAFLD
肥満とNAFLD
内臓脂肪蓄積とNAFLD
肝における脂肪蓄積メカニズム
NASHの発症機序とアディポサイトカイン
ヘパトカインとNAFLD
NAFLD/NASHの自然経過
C型肝炎における肝脂肪蓄積
低栄養によるNAFLD
NAFLDに対するカロリー制限および運動の効果
インスリン抵抗性の改善効果

第5章 異所性脂肪と循環器疾患
内分泌器官としての脂肪組織
血管周囲脂肪組織と動脈硬化
(1)血管周囲脂肪組織からのサイトカイン/ケモカイン産生
(2)細胞外マトリクスとメタロプロテアーゼの役割
(3) 酸化ストレスの役割
(4)血管壁の硬さ(stiffness)と血管の反応性
血管周囲脂肪組織が血管リモデリングに及ぼす影響
(1)実験方法
(2)実験結果
(3)実験結果のまとめ
心臓周囲脂肪組織と冠動脈疾患の関係
(1)心臓周囲脂肪組織の解剖と機能
(2)肥満による心外膜脂肪の増大
(3)冠動脈疾患と心外膜脂肪
(4)冠動脈バイパス手術患者での検討
まとめと今後の研究の方向性
(1)病態生理
(2)動物実験
(3)臨床研究

第6章 異所性脂肪を減らすには
内臓脂肪の発見
内臓脂肪蓄積の意義
アディポサイトカイン
メタボリックシンドローム
異所性脂肪
異所性脂肪のたまりやすい人
(1)年齢・性別
(2)食習慣
(3)運動習慣
(4)異所性脂肪の治療
食事療法
(1)エネルギー制限
(2)摂取食品の選択
(3)調理法
運動と身体活動
(1)運動と身体活動の違い
(2)身体活動の指標
(3)運動と身体活動の効果

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序文


小川佳宏
東京医科歯科大学教授 糖尿病・内分泌・代謝内科

脂肪組織は、長い飢餓の時代を生き抜いてきた人類にとって、来るべき飢餓に備えて余剰エネルギーを蓄える重要な臓器である。脂肪組織は、体脂肪分布の観点より、皮下脂肪と内臓脂肪(腹部脂肪)に大別される。
異所性脂肪は「ectopic fat」の日本語訳であり、正所性脂肪とも言うべき脂肪組織に蓄えられた脂肪とは全く異なるため、「第三の脂肪」とも呼ばれる。厳密には脂肪細胞以外の細胞中に蓄積した脂肪を意味する言葉であるが、脂肪組織以外の臓器の細胞外に存在する脂肪細胞を含む場合もある。
わが国のメタボリックシンドロームの診断基準では、内臓脂肪型肥満が必須項目として取り上げられており、これが糖尿病や高血圧症あるいは動脈硬化性疾患などの主要なリスクファクターであることはいうまでもない。一方、見かけ上太っていないからといって、生活習慣病のリスクが低いとは限らない。たとえば、脂肪組織に脂肪を蓄積できない脂肪萎縮症では、やせていても肝臓や骨格筋、膵β細胞、心臓などの臓器に異所性脂肪が蓄積し、脂肪肝やインスリン抵抗性、インスリン分泌不全、心筋障害などの「脂肪毒性」と呼ばれる病態をもたらす。
日本人はインスリン分泌機能が低いため軽度の肥満でも糖尿病を発症するとされるが、皮下脂肪を十分に蓄積できないために内臓脂肪や異所性脂肪が相対的に多くなるのかもしれない。脂肪組織をオーバーフローした脂肪はどのようにして異所性脂肪として蓄積するのか、異所性脂肪がもたらす脂肪毒性による臓器障害の分子機構はどこまで分かっているのか、一旦蓄積した異所性脂肪を減らすにはどうすればよいのか、臨床的にも重要な問題である。
本書は、実地医家、特に開業医の先生方を対象に、「異所性脂肪」という古くて新しい概念を切り口として、肥満と脂肪蓄積の分子機構やメタボリックシンドロームの病態に関する最新の知見を分かりやすくまとめた。
最後に、日々の研究あるいは診療の御多忙の中、御執筆いただいた先生方に深謝致します。

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