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糖尿病薬物療法BRUSHUP

血糖コントロールを極める!

定価:6,270円
(本体5,700円+税)

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監修: 河盛隆造(順天堂大学大学院 教授・(文科省事業)スポートロジーセンター センター長)
編著: 綿田裕孝(順天堂大学医学部代謝内分泌学 教授)
編著: 弘世貴久(順天堂大学医学部代謝内分泌学 先任准教授)
判型: B5判
頁数: 314頁
装丁: カラー
発行日: 2011年05月28日
ISBN: 978-4-7849-5366-0
版数: 第1版
付録: -

・1剤で目標とする血糖応答に到達しない時,作用の異なる他の1剤を追加しその効果が1+1=3,または3剤で1+1+1=6となるような薬剤の組合わせをいかに選択すべきか?最適の処方を見つけたいという思いに応える1冊です。
・外来で採り入れやすいインスリン導入法についても詳述。
・具体的な処方例,コントロール不良時の対応などのコラム満載。
・見やすいフルカラー。

目次

1章 経口薬療法+GLP-1アナログ製剤 \
総 論
1.2型糖尿病の特徴と経口薬開始のタイミング
2.段階的な経口薬治療の考え方
3.多剤併用の基本パターン
α-グルコシダーゼ阻害薬
4.薬理作用と適応
5.基本的な使い方と注意点
速効型インスリン分泌促進薬
6.薬理作用と適応
7.基本的な使い方と注意点
インスリン抵抗性改善薬
8.薬理作用と適応
9.基本的な使い方と注意点
ビグアナイド薬
10.薬理作用と適応
11.基本的な使い方と注意点
SU薬
12.薬理作用と適応
13.基本的な使い方と注意点
14.SU薬無効例の判定とインスリンへの変更
DPP-4阻害薬
15.薬理作用と適応
16.基本的な使い方と注意点
GLP-1アナログ製剤
17.薬理作用と適応
18.基本的な使い方と注意点
高齢者
19.経口薬治療の考え方と注意点
小 児
20.経口薬治療の考え方と注意点
2章 インスリン療法 \
2型糖尿病
21.インスリン療法開始の適応
22.開始時インスリン製剤の選択
23.外来でインスリン療法を導入する際の注意点
24.インスリンの用法,用量調節の実際
25.経口薬との併用が必要な場合とは
26.持効型溶解インスリンアナログ製剤と経口薬を用いた導入(BOT)
27.SU薬効果不十分な2型糖尿病に対する超速効型あるいは混合型インスリン3回注射法による導入
28.高齢者のインスリン療法の方法と注意点
29.インスリンからの離脱─可能性の判定と離脱後の治療
1型糖尿病
30.強化インスリン療法の方法と注意点
31.持続皮下インスリン注入療法(CSII)の適応と方法?-CGMSを用いた用量設定
32.強化インスリン療法を必要としない場合
33.超速効型インスリンアナログ製剤の特徴と使い方
34.経口薬との併用は不要か
その他のインスリン療法
35.妊娠糖尿病,糖尿病合併妊娠における血糖管理目標とインスリンの使い方
36.不安定な血糖変動を呈する例への対処法
37.無自覚性低血糖の頻発例への対処法
38.インスリン注射部位の異常と対処法
39.血糖値に応じたインスリン量の調節が必要になる場合-スライディングスケールによる調節方法
3章 薬物治療に共通する問題点 \
低血糖
40.対処法と注意すべき点
sick day rule
41.病気,外傷,生理などの際の対処法
ステロイド薬
42.ステロイド薬治療を行う場合の血糖コントロール-インスリンが必要な場合とその使い方
海外旅行時
43.薬物治療の注意点
運動・スポーツ
44.運動・スポーツ時の対処法
検査・小手術時
45.絶食や変則的な食事になる場合の対処法
肥満患者の薬物療法
46.肥満患者に経口薬,インスリンを使用する時の注意点
4章 急性糖尿病合併症 \
高血糖緊急症
47.病態と誘因
48.症状と検査データ
49.治療法と注意すべき点
低血糖性昏睡
50.治療法と注意すべき点
急性感染症
51.糖尿病にみられる急性感染症と治療法
5章 糖尿病性血管合併症 \
糖尿病性腎症
52.腎症の病期分類と病期別の治療方針
53.続発するネフローゼ症候群に対するアプローチ
54.血圧管理目標と降圧薬の使い方
55.腎性貧血に対する治療法
56.透析療法開始後の各種薬物療法の実際
糖尿病網膜症
57.糖尿病網膜症の発症と進行を予防する内科的治療
58.糖尿病網膜症に影響を与える薬剤
糖尿病神経障害
59.アルドース還元酵素阻害薬の特徴と適応
60.しびれとこむら返りに対する治療法
61.疼痛に対する治療法
62.勃起障害と排尿障害に対する治療法
63.起立性低血圧の診断と治療法
64.胃腸障害(便秘,下痢,胃蠕動障害など)に対する治療法
糖尿病性足潰瘍・壊疽
65.重症度の診断と手術適応の評価
66.急性期の内科的治療
67.慢性期の内科的治療
動脈硬化症
68.脳血管障害の急性期,慢性期における血糖管理
69.心筋梗塞の急性期,慢性期における血糖管理
70.末梢閉塞性動脈疾患(PAD)に対する薬物療法
6章 他の合併症・併発症 \
脂質異常症
71.診断と管理目標─脂質異常症治療薬の選択と使い方
高血圧
72.高血圧の管理目標─降圧薬の選択と使い方
肝炎・肝硬変
73.肝疾患の合併例に対する糖尿病治療薬の選択
悪性腫瘍
74.悪性腫瘍合併例に対する糖尿病治療薬の選択

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序文

2002年に日本医事新報社から『慢性疾患薬物療法のツボ/糖尿病』を出版した。医局員が日頃行っている外来診療の実際を記載したものであったが,多くの先生方から役立つとの声を頂いた。同時に,外来診療でのインスリン療法の実際をもっと詳しくとの要望も寄せられたので,2005年には『インスリン療法最前線 2型糖尿病へのアプローチ』(2008年,第2版)を上梓した。2007年には『慢性疾患薬物療法のツボ/糖尿病』を大幅に書き直して第2版を出版した。本書は,さらにこれを『糖尿病薬物療法BRUSHUP』と改題してこの4年間の治療の進歩を盛り込み,医局員の知識のBRUSHUPをも期待して装いも新たに企画したものである。

糖尿病は典型的な全身疾患であり,全身の血管,臓器を障害させる疾病であることは言うまでもない。若い医師が短時間の研修中にそれを理解してくれたおかげであろうか,1994年に順天堂大学医学部内科学・代謝内分泌学教室を開設して17年で,医局員は160名以上になった。糖尿病学の急速な進展は,新しい作用機序を有する新薬の登場,この新薬を用いた際の詳細な臨床知見からの病態生理の新たな解明が,好循環を生んでいる結果でもあろう。若い医師たちも病態生理を把握するため,分子的,細胞的な成績をどのように解釈し臨床に生かせばよいのかと必死になっている。基礎的な最新の研究成果をも臨床にフィードバックすべく,translation,transition,transformationに日々努力している。

€2型糖尿病の治療方針は,内因性インスリン分泌の回復を図ること,それがたとえ十分量でなくてもインスリン感受性を亢進させて良好な血糖応答状況を維持すること,肝に直接的にインスリンを供給するというtargetingを満たすことが必須であり,そのため積極的に薬物療法を駆使し,正常血糖応答を維持することが求められている。1剤で目標とする血糖応答状況に到達しない際には,作用の異なる他の1剤を追加し,その効果が1+1=3,あるいは3剤で1+1+1=6となるようにbest partnersを選択すべきであろう。

€この5年間にも,膵β細胞,脂肪組織,骨格筋,肝臓,腸,脳などにおいて血糖コントロールに寄与する新たな機構が次々と解明され,直ちに臨床に応用されている。

多彩な作用を有する薬物を的確に選択し,その効果を緻密に把握する外来診療を実践する上でぜひ本書をご活用頂きたい。

€2011年3月5日,The Inaugural International Academy of Sportologyを盛会裏に終えることができた喜びとともに

監修者 河盛隆造

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レビュー

【書評】薬剤を使いこなすための決定版

難波光義(兵庫医科大学内科学糖尿病科主任教授)
糖尿病治療の基本が食事・運動療法であることは、これまで証明し尽くされてきたし、もちろんこれから近未来においてもそうであろうと予想される。しかし、糖尿病薬物療法における最近の飛躍的進歩は限定条件つきではあるものの、その常識を塗り替えうるパラダイムシフトを招いた。我々医療者は、言い逃れの許されない時代に突入し、優れた食材(薬剤)と、kitchen wear(血糖コントロールの短・中・長期的指標)を前にして、「さあどうぞ、シェフ! どんなお料理に仕上げてもらえるんですか?」と、迫られている立場なのかもしれない。これらをうまく使いこなして各薬剤のポテンシャルを最大限に発揮させること、それがこれからの糖尿病診療に携わる医療者に求められているのである。

とりわけ実地医家・研修医・レジデントなど、専門医ではないが、目の前に押し寄せてくる糖尿病患者を前にため息交じりで「ある程度の生活指導はしたはずなんだけれど、でもこのままではとてもとても!?」と腕組みしている医師や、コメディカルスタッフにとって、本書は特筆に価する指南書と言えよう。その理由は、本書の基本的バックボーンが監修者の河盛隆造先生の河盛イズムを踏襲していることにある。編集者の綿田裕孝・弘世貴久両先生をはじめ著者全員が河盛先生の薫陶を受けられたスタッフであることがその一つの表れであろう。

河盛先生はこれまで首尾一貫して「時期を逃さぬ、最適な薬物療法の早期導入とその段階的強化の必要性」を主張され、さらに血糖の短・中・長期的指標の正常化のみならず、体重・脂質・血圧・血液凝固能など血管合併症のすべての増悪因子に対する介入の重要性も強調されてきた。

本書を通読された読者たちはきっと、いきなり「四ツ星レストラン」のシェフはともかく、「他人には教えたくないビストロ」のシェフに間違いなくなれること請け合いである。

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