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ひきこもり

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-04-03
近藤直司 (大正大学心理社会学部臨床心理学科教授)
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  • ■疾患メモ

    わが国では,数十万人の若者がひきこもり状態にあると推計されている。

    小・中学生の頃に生じた不登校・ひきこもりや,それらが長期化し,青年期・成人期に至っているケース,あるいは大学生や社会人が学校・職場への不適応からひきこもりに至るケースなど,年代や経過は様々である。

    これまで,主に若者のひきこもり問題が論じられてきたが,中高年代に及ぶような長期化や,親の高齢化によって初めて事例化する成人例も少なくない。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    〈定義〉

    DSM-5:他者といるよりも一人を好むこと,社会的状況で寡黙であること,社会的な接触や活動を回避すること,社会的接触に加わらないこと,とされている。

    ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン(厚生労働省2010年5月):様々な要因の結果として社会的参加(義務教育を含む就学,非常勤職を含む就労,家庭外での交遊など)を回避し,原則的には6カ月以上にわたって概ね家庭にとどまり続けている状態(他者と交わらない形での外出をしていてもよい),を呈しているケースを想定している。

    若者の生活に関する調査(ひきこもりに関する実態調査)(内閣府):「自室からは出るが家からは出ない,または自室からほとんど出ない」「ふだんは家にいるが,近所のコンビニなどには出かける」を狭義のひきこもり,「ふだんは家にいるが,趣味の用事のときだけ外出する」を準ひきこもりとして実態調査を実施している。

    【背景要因】

    ひきこもりの精神医学的背景は多様である。前述のガイドラインでは,診断と治療・支援方針までを含めて,ひきこもりケースを3群に分類している。第一群は統合失調症,気分障害,不安障害などを主診断とし,薬物療法が必要となるケース,第二群は広汎性発達障害や軽度知的障害などの発達障害を主診断とし,発達特性をふまえた支援が必要となるケース,第三群はパーソナリティ障害や神経症的な性格傾向に対する心理・社会的支援が中心になるケース,である。

    本人の精神病理のみならず,家族状況,学校・職場における人間関係,若者の雇用状況など,様々な環境要因が関連しているものと考えられている。

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