株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

アンドロゲン不応症

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-03-28
丸山哲夫 (慶應義塾大学医学部産婦人科学教室准教授)
    • 1
    • 2
  • next
  • ■疾患メモ

    アンドロゲン不応症(androgen insensitivity syndrome:AIS)とは,アンドロゲン受容体(androgen receptor:AR)の異常を原因とする疾患の総称である。

    X染色体上のAR遺伝子の変異によるX染色体劣性遺伝病である。ただし,孤発例もある。

    頻度は新生児10万人に1~5人である。

    染色体は男性核型46, XYではあるものの,ARの機能低下によりテストステロンおよびジヒドロテストステロン(dihydrotestosterone:DHT)の作用が不十分となり,男性化が様々なレベルで障害される。

    性腺から産生されるテストステロンはエストラジオールへ正常に変換されるため,思春期での乳房発育や成長の加速(growth spurt)は起きる。

    アンドロゲン作用障害の程度により,CAIS(complete AIS:完全型),PAIS(partial AIS:部分型),MAIS(mild AIS)に分類される。

    本項では,主にCAISについて述べる。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    原発性無月経を呈する。

    正常女性外性器,腟は盲端に終わる(子宮,卵管,腟上部は存在しない)。

    両側鼠径ヘルニア・陰唇腫大を呈することにより,新生児期あるいは乳児期に診断されることもある。

    恥毛・腋毛の欠如・減少がみられる。

    【検査所見】

    内分泌学的所見:テストステロン値は成人男性基準範囲内~軽度高値。

    画像所見:抗ミュラー管ホルモン(anti-mullerian hormone:AMH)は正常に産生・作用することによりミュラー管が退縮するため,子宮・卵管・腟上部は存在しない(腟は盲端となる)。

    1190疾患を網羅した最新版
    1252専門家による 私の治療 2021-22年度版 好評発売中


    PDF版(本体7,000円+税)の詳細・ご購入は
    コチラより

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    page top