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神経性食欲不振症

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-06-12
橋本香映 (大阪大学医学部産婦人科)
森重健一郎 (岐阜大学大学院医学系研究科産科婦人科学教授)
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  • ■疾患メモ

    やせ願望や肥満恐怖に基づく食行動の異常のために,やせをきたす疾患である。ストレスを適切に処理する能力の未熟性が病因の1つとされ,10~20歳代の女性に多いが,小学生での発症や30歳以降の発症も増加傾向にある。

    病型には制限型とむちゃ食い/排出型がある。治療には個々の精神病理の理解が不可欠であり,長い時間がかかる。

    重症例では救命のための緊急入院が必要となることがある。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    非常にやせているにもかかわらず,ボディイメージの障害のため病識が欠如していることが多い。

    しばしば過剰に活動する傾向にある。

    経過中に過食となることが多く,自己誘発性嘔吐を伴う。

    やせに伴い無月経,骨塩量減少,低体温,低血圧,徐脈,便秘,浮腫,脱毛,皮膚の乾燥,筋萎縮が認められる。

    自己誘発性嘔吐がある場合は,手背に吐きだこや唾液腺の腫大がみられることがある。

    診断基準を表1に示す。

    20_31_神経性食欲不振症

    【検査所見】

    発症初期では血液検査所見に異常のないことが少なくない。

    尿検査:ケトン体陽性,時に尿蛋白陽性。

    血液検査:貧血,白血球減少,時に血小板減少あるいは増加。

    電解質:低ナトリウム血症,低カリウム血症。

    生化学検査:AST・ALT上昇,高コレステロール血症(重症では低下),CPK上昇。

    内分泌検査:トリヨードサイロニン(T3)低値。

    心電図:徐脈,低電位差,時に不整脈,QT時間延長,T波異常。

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