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熱傷

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-06-20
河合幹雄 (広島大学大学院医歯薬保健学研究科皮膚科学)
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  • ■疾患メモ

    熱傷とは熱により生じる生体の障害である。小範囲のものは,保存的加療で治癒が期待できるが,広範囲熱傷の場合,全身症状を伴い,輸液管理,呼吸管理,栄養管理などの全身療法と,外用療法と手術療法,温浴療法などの局所療法が必要となる。

    軽症例は,冬季にやかん,ポットなどからの熱湯や熱い飲み物など,加熱液体が原因となる小児例が圧倒的に多い。

    重症例は冬季に若干多いが,軽症例ほど季節の差はない。風呂が循環式から給湯式に改良され,小児の浴槽転落例はほとんどみられなくなったが,動作が緩慢な高齢者の衣類などへの引火例や高齢者の入浴中の受傷例が増加している。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    熱傷の深達度によってⅠ~Ⅲ度の3型に分類される。

    Ⅰ度熱傷は,臨床的に疼痛の強い紅斑を呈する。数日で治癒し,瘢痕などの後遺症は残さない。多くの場合,受傷機転は長時間の日光浴である。

    Ⅱ度熱傷は,紅斑を伴う水疱,あるいは水疱蓋が欠損したびらんとなる。組織障害が真皮浅層までの浅達性Ⅱ度熱傷(superficial dermal burn:SDB)と,真皮深層にまで及んでいる深達性Ⅱ度熱傷(deep dermal burn:DDB)に分けられる。

    ・SDB:疼痛と水疱底に紅斑を伴っているが,圧迫すると紅斑は消失する。受傷後10~15日程度で瘢痕を残さず治癒する

    ・DDB:水疱底を圧迫していても発赤は消失せず,知覚鈍麻も伴う。3~4週間かけて瘢痕治癒するが,植皮術などを必要とすることも多い。

    Ⅲ度熱傷は,臨床的に黒色,褐色あるいは白色を呈し,疼痛を伴わない。小さな熱傷創であれば,周囲からの上皮化と創収縮で瘢痕治癒することがあるが,多くは壊死組織除去と植皮術などが必要となる。

    【検査所見】

    病歴と臨床症状で熱傷の診断は容易である。重症度は受傷面積と深達度で規定される。受傷した面積は全体表面積(total body surface area:TBSA)に占める割合で算出し,熱傷面積が広いほど重症となる。

    熱傷面積の算出方法として次のものがある。

    ・手掌法:患者の片手の手掌および全指腹の面積を1%TBSAとする簡易法である。

    ・9の法則:患者の頭部や片側上肢などを9%TBSA,片側下肢や躯幹前面,後面を18%TBSAとして,全身を9%の単位に分けて熱傷面積を算出する簡便法である。成人にのみ適用となる。

    ・5の法則:全身に占める頭部や躯幹の割合が大きい幼児や小児では,各パーツを5%の単位に分けて算出する。

    ・Lund & Browderの公式:熱傷部を図示したうえで,細分化されたパーツごとに詳細な面積を算出し合計する方法で,頭部と大腿,下腿の占める面積は5歳ごとに補正してあり,年齢別に細かく算出できる。

    重症度判定基準としては次のようなものがある。

    ・熱傷指数:Ⅲ度熱傷面積+Ⅱ度熱傷面積/2
    熱傷面積に深さを考慮した指数である。10~15以上を重症と考える。

    ・予後熱傷指数:熱傷指数+年齢
    熱傷面積,深さ,年齢を考慮した指数である。100~110以上で生命予後は悪くなる。

    ・Artzの基準およびその改変基準(Moylanの基準)(
    Artzの基準は熱傷面積や深度,合併症などによって重症度を分類し,どの施設で治療すべきかを定義している。Moylanはこの分類を改良して,"重症"をⅡ度熱傷が「30%TBSA以上」を「25%TBSA以上」に変更し,電撃傷も重症に含めた。

    14_26_熱傷

    受傷部位を針で刺激し,疼痛がみられるSDBと,わずかにしか疼痛を認めないDDBを区別するpin prick testが行われることがある。またビデオマイクロスコープを用いて,創面の血流状態から熱傷の深達度を測定する方法もある。

    全身状態の検査として,中等症以上の場合,循環動態の把握が必要であり,血圧,時間尿量に注意が必要である。

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