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肺炎球菌感染症

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-03-28
大石和徳 (国立感染症研究所・感染症疫学センター長)
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  • ■疾患メモ

    肺炎球菌はグラム陽性菌であり,多くの乳幼児が本菌を鼻咽頭に保菌している。本菌はしばしば血液中に侵入し,主に小児や高齢者に髄膜炎や菌血症などの侵襲性肺炎球菌感染症(invasive pneumococcal disease:IPD)を起こす。一方,本菌は小児,成人において肺炎,中耳炎などを起こす。

    2010年11月から,小児に対する7価結合型肺炎球菌ワクチンの公費助成が開始され,2013年4月から定期接種(A類)となった。2013年11月には13価結合型肺炎球菌ワクチンが小児定期接種ワクチンとなり,その後,ワクチン血清型によるIPDが減少した。また,2014年10月からは65歳以上の高齢者に対して23価莢膜ポリサッカライドワクチンが定期接種(B類)となっている。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    肺炎を含む下気道感染症では,発熱,咳嗽,膿性痰を喀出する。

    【検査所見】

    末梢血白血球数の増加,血清CRP値の増加が認められる。肺炎例の胸部X線所見では区域性の浸潤影を示すことが多い。臨床検体のグラム染色所見により本菌感染症を推定し,培養により本菌が分離同定されれば確定診断される。肺炎や髄膜炎患者でも菌血症を合併することから,血液培養が必須である。肺炎球菌尿中抗原検査は感度,特異度ともに良好で,本菌感染症の診断の一助となる。ただし,小児では特異度が劣っている。髄液検体に対して,肺炎球菌尿中抗原検査およびラテックス凝集反応が補助診断として有用である。

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