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腎梗塞

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-03-28
北村健一郎 (山梨大学医学部内科学講座第3教室教授)
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  • ■疾患メモ

    腎梗塞とは,主または分枝腎動脈に塞栓性梗塞が生じる病態である。外傷,動脈瘤,不整脈などに伴う血栓症,炎症性疾患,移植腎,動脈造影などが原因となるが,心房細動に併発する塞栓性閉塞による頻度が最も高い。

    急激な側腹部痛,背部痛,悪心・嘔吐などを訴える場合から無症状まで様々である。早期診断・早期治療が重要で,尿所見や血液検査で可能性がある場合,必ず鑑別診断に入れる必要がある。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    特異的症状に乏しく,小梗塞では症状を認めないことが多いが,比較的大きな梗塞では急激な側腹部・腹部・背部痛とそれに伴う悪心・嘔吐,発熱などを認める。また,急激な血圧上昇を認めることもある。

    心房細動など血栓症リスクが高い,もしくは長期間の高血圧の既往など動脈硬化の進行が予想される症例で,急激に側腹部や背部の痛みを訴えたり,急激な血圧上昇を認める場合に,原因疾患として想起する必要がある。

    【検査所見】

    全身の血栓・塞栓症リスクが高く,体幹部の症状を訴える場合,血算,生化学検査(LDH,クレアチニン,BUNを含む),尿検査,尿培養を施行する。また,塞栓症のリスク評価のため心電図検査を行う。

    白血球の上昇,トランスアミナーゼの上昇を伴わないLDHの上昇,尿潜血が疾患特異性の高い所見である。

    確定診断をつけるには,CTやMRIで楔状の陰影欠損像を証明する。典型例では,CTで非造影領域およびcortical rim signが明瞭になる。このサインは,腎被膜動脈や腎盂・尿管周囲動脈からの側副血行路によって腎梗塞部の被膜下皮質の血流が保たれていることを示す所見であり,楔状の非造影領域を呈する腎盂腎炎との鑑別に有用である。

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