株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

[あなたの患者対応、ホントに大丈夫?—日々押し寄せる院内クレームの解決術②]トラブル事例その1 <窓口・待合室篇>

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • prev
  • ケース③ 待ち時間に対するクレーム 
    「予約の診察時間が大幅に遅れて商談が破談になった。責任を取れ!」

    Q:どう対応する?

    ①病院には関係ないことでありますし、そう言われても困ります

    ②大変申し訳ございませんが、当院では損害賠償の申し出はお受けできかねます

    ③それでは事情をうかがい、対処したいと存じます

    ④それでは当院の規定による損害額をお支払いいたします


    対応のポイント:待ってもらうよう丁寧にお願するしかない

     予約診療は待ち時間を少しでも短縮しようとする工夫の1つだが、大幅に診察時間が遅れることも少なくない。待ち時間が長引いた場合には、予約時間はおおよその目安に過ぎず、診察時間を決して保障するものではないことを説明し、待ってもらうよう丁寧にお願するしかない。

     頻繁に窓口に順番を訪ねてくるような患者に対しては、待ち時間の見込みや待っている患者数などを教えてあげよう。ただ順番を繰り上げるようなことはすべきではない。

    A:良い対応/悪い対応

    ①:△

    ②:○

    ③:×

    ④:×


    このケースでは損害賠償請求に応じる必要はない

     このケースのような場合、損害賠償請求に応じる必要はない。

    ①予約時間の遅れによる診察が予想できたこと

    ②患者も打ち合わせ時間に遅れそうな場合には事前に連絡を入れることが可能であり、打ち合わせ時間をずらしたり日程を変更したりするなどの対応ができたこと

    ③本当に大事な商談であれば、多少の遅れでキャンセルとなるのは考えにくいこと

    などが主な理由となる。

     また、仮に予約時間の遅れにより商談が破談となったと主張するのであれば、その事実を証明してもらう必要がある。証明するには先方の商談相手まで裁判に巻き込むことになるため、そこまでして医療機関に損害賠償を求めるメリットが本当にあるのかと考えるはずだ。


    大江和郎 編著『もつれない患者との会話術〈第2版〉』 
    実際に寄せられた89事例のクレームから、医療機関が取るべき対応やその法的根拠を解説している。

  • prev
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    関連物件情報

    もっと見る

    page top