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Mycobacterium abscessus species症の最適治療について

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  • 治療は,強化治療(4週以上の点滴薬の併用)と,外来での内服薬を中心とした維持治療の2段階に分けられます。治療の際,マクロライド感受性に基づき薬剤の数を調整することが推奨されています。特に,わが国の実状を考慮した薬剤選択が強調されている点に注意が必要です。

    感受性菌(誘導耐性および獲得耐性の両方がない場合)の治療では,強化治療中にはアミカシン(AMK)点滴,イミペネム(IPM)点滴,およびマクロライド内服を基本とし,初期からクロファミジン(CFZ)を追加します。CFZは血中濃度がピークに達するまでに6カ月を要します。AMKおよびIPMの点滴は4週間以上継続しますが,空洞の有無や排菌量などの状況に応じて,必要に応じて治療期間を調整することも考慮されます。維持治療では,マクロライドとCFZを併用します。しかし,重症の場合は,外来でのAMK点滴(週に2~3回)を追加します。CFZの忍容性に問題がある場合,感受性検査の結果を参考にして,シタフロキサシン(STFX)やリネゾリド(LZD)の使用も考慮されます。

    耐性菌(誘導耐性または獲得耐性の例)の場合,強化治療としてAMK点滴,IPM点滴,CFZを基本に,さらに感受性検査の結果を参考にして,STFXまたはLZDのいずれか1剤を併用します。維持治療においては,AMK点滴(外来で週2~3回)とCFZを主軸として,2剤以上の薬剤を継続的に使用します。マクロライド耐性菌に対するマクロライドの併用は効果が低く,治療薬としてはカウントされないことに注意が必要です。

    感受性菌の例においては,重症でない限り,マクロライドを基本とした治療で菌の陰性化をめざします。耐性菌に対しては,手術を含む集学的治療の長期的な適用が困難な場合,専門施設への紹介が推奨されます。新しい薬剤,特にomadacycline(国内未承認)のような新規薬剤の開発が期待されています。

    【回答者】

    森本耕三 結核予防会複十字病院呼吸器センター医長 長崎大学大学院臨床抗酸菌症学分野教授

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