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肥満細胞症診療の最近の進歩

No.5109 (2022年03月26日発行) P.52

山本俊幸 (福島県立医科大学皮膚科学講座教授)

伊藤友章 (東京医科大学皮膚科学分野准教授)

登録日: 2022-03-23

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  • 肥満細胞症診療の最近の進歩についてご教示下さい。
    東京医科大学・伊藤友章先生にご解説をお願いします。

    【質問者】

    山本俊幸 福島県立医科大学皮膚科学講座教授


    【回答】

    【肥満細胞症は日本人に少ない疾患であり,皮膚に限局するものや白血化するものがある】

    肥満細胞症は,わが国では皮膚科医以外は聞く機会がない疾患です。ところが肥満細胞症はがん化し白血病に至ることから,2016年のWHO分類で正式に肥満細胞症という独立疾患として取り扱うことになりました1)。分類として,全身性肥満細胞症・皮膚肥満細胞症・肥満細胞肉腫に大別されます。

    全身性肥満細胞症の定義は,皮膚以外で15箇所以上の肥満細胞のクラスターを認めること,肥満細胞のKIT遺伝子変異を認めることです。肥満細胞は骨髄ではつくられません。未熟な幹細胞が,組織内で数カ月かけて成熟します。血管内に肥満細胞が存在し,肥満細胞の特異的蛋白であるトリプターゼが血清中で高値になります。また,骨髄異形成症候群と同じように,進行度によって治療方針が異なります。白血病化した場合は,チロシンキナーゼ阻害薬が有効と言われています。しかし,イマチニブに関しては耐性が生じ,使用には注意が必要です。また,新しいチロシンキナーゼ阻害薬が現在開発中です。

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