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好酸球性食道炎の症状,内視鏡診断の所見,注意点【食物つまり感や嚥下困難などがみられる。内視鏡所見は縦走溝やリング,白斑,狭窄が特徴的だが,感度・陽性的中率が低いため生検が必須】

No.4910 (2018年06月02日発行) P.53

石原 立 (大阪国際がんセンター消化管内科主任部長)

藤原靖弘 (大阪市立大学消化器内科教授)

登録日: 2018-06-02

最終更新日: 2018-05-29

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  • 好酸球性食道炎(eosinophilic esophagitis:EoE)は,慢性の炎症により食道の運動や知覚に異常が起こり,嚥下障害,食べ物のつかえ,胸焼けなどの不快な症状をきたす疾患です。欧米ではこの疾患に対する関心が高く,多くの研究が行われてきましたが,わが国では関心が低く稀な疾患です。実際,診断されていないEoEは多く,この疾患への理解が深まることで発見される患者が増える可能性もあります。そこで,EoEを発見する契機になる症状や,内視鏡診断における重要な所見,その他の注意点などを大阪市立大学・藤原靖弘先生にご教示頂ければと思います。

    【質問者】

    石原 立 大阪国際がんセンター消化管内科主任部長


    【回答】

    EoEは食物つまり感や嚥下困難などの食道症状があり,内視鏡下生検にて食道上皮内好酸球が高視野で15個以上浸潤している慢性アレルギー疾患です。

    わが国では稀な疾患とされてきましたが,近年,その報告数が増加してきています。臨床的には中年,男性に多く,約半数にアレルギー疾患を認めます。診断の契機となる症状として,食物つまり感や嚥下困難が最も多いですが,胸痛,胸焼け,胃痛などの症状を呈する場合もありますので,標準治療に反応しない症例では鑑別すべき疾患のひとつとして常に挙げるべきです。

    上部消化管内視鏡検査では,縦走溝やリング,白斑,狭窄など特徴的な所見がみられますが,感度,陽性的中率は低いので,生検が必須です。一方,わが国では人間ドックなどで偶然上記のような内視鏡所見があり,生検で有意な好酸球浸潤を認める症例に遭遇します。定義上は食道症状がなければEoEには当てはまりませんが,無症候性EoEの自然史がどうなるかなど,わが国独自の研究が期待されています。

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