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食道ESD後の狭窄対策【ステロイド療法をはじめ選択肢は多彩。完全な予防に期待】

No.4908 (2018年05月19日発行) P.54

布袋屋 修 (虎の門病院消化器内科主任部長)

石原 立 (大阪国際がんセンター消化管内科主任部長)

登録日: 2018-05-22

最終更新日: 2018-05-15

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  • 消化管表在癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(endoscopic submucosal dissection:ESD)は従来の内視鏡的粘膜切除術(endoscopic mucosal resection:EMR)と比較し,根治性に優れた治療として発展してきました。食道表在癌に対しても全周性あるいは亜全周性の病変も安全に切除することは可能ですが,術後の狭窄予防に課題が残されています。従来のバルーン拡張術に加え,ステロイド内服や局注PGA(ポリグリコール酸)シート,ステントなど各手技の適応や注意点,選択法などについて,大阪国際がんセンター・石原 立先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    布袋屋 修 虎の門病院消化器内科主任部長


    【回答】

    人口の高齢化とともに,わが国における食道癌の罹患数は増加しています。食道癌は進行すると根治が困難ですが,食道周囲へ転移をきたしている可能性が低い食道癌は,低侵襲な内視鏡切除で根治が見込めます。内視鏡切除の中でも食道ESDは,がん化した食道粘膜を任意の範囲で切除することができる優れた方法です。食道ESDにより5cmを超えるようながんや食道全周に広がるようながんも切除できるようになりましたが,術後の瘢痕収縮による食道狭窄の問題が残りました。たとえば,食道の半周以上に広がるがんをESDで切除すると60%以上,全周に広がるがんではほぼ100%に食道狭窄が出現しました。食道狭窄は摂食障害の原因となるため,広範な食道癌に対するESDは避けられてきました。

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