医師があらかじめ作成した手順書に基づいて、医師の判断を待たずに看護師が一定の診療の補助を行う「特定行為」(次頁表1)。2015年10月に研修制度が創設されてから2年余が経過した。超高齢多死社会の到来を迎え、在宅医療の推進をさらに図るため、それを支える看護師を計画的に養成・確保していくことが目的だ。厚生労働省が掲げた目標は、25年に向け「約10万人以上」。達成するには毎年1万人以上が研修を修了する必要があるが、昨年末までの修了者は738名(図2)にとどまっている。
低調の理由の1つが、研修受講者の負担だ。講義と演習はeラーニングによる学習が可能で、実習は所属医療機関等で受けられるものの、計330時間以上を働きながら受講する負担は大きい。医療現場に制度の理念や目的が十分浸透していない現状で、研修に送り出す職場の理解不足も課題だ。