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(1)問診と身体所見を中心とした急性腹症の診断 [特集:プライマリケアで診る急性腹症]

No.4795 (2016年03月19日発行) P.22

篠田亮子 (広島大学病院総合内科・総合診療科)

溝岡雅文 (広島大学病院総合内科・総合診療科准教授)

田妻 進 (広島大学病院総合内科・総合診療科教授)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-01-26

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  • 急性腹症の診療は,まず外観とバイタルサインの評価で緊急性を判断し,緊急性が低い場合は問診,身体所見,検査所見から外科的治療の必要性を判断する

    緊急手術の必要性のキーワードは,激痛,突然の発症,進行性増悪,体性痛(持続痛)であり,問診では適切な質問で発症形式と痛みの種類を明らかにする

    65歳以上,ステロイド内服中など,ハイリスクの症例ではわずかな痛みでも慎重に対応する

    すぐに診断がつかない場合は「原因不明の急性の腹痛」として,腹腔外疾患も鑑別に入れて経過をみる

    1. 急性腹症とは

    急性腹症の定義は様々あるが,成人を対象とした『急性腹症診療ガイドライン2015』1)では「発症1週間以内の急性発症で,手術などの迅速な対応が必要な腹部(胸部等も含む)疾患」としている。わが国では,急性腹症の患者は救急外来の5〜10%を占め,そのうち20%前後は重症または手術となり,0.5%未満が死亡に至る。入院に至った男女別の疾患頻度,手術に至った年齢別の疾患頻度を図に示した(図1・2)2)3)。1990年代頃までは,急性腹症のうち40%前後は診断がつかない非特異的腹痛だったが,CTなど画像診断の進歩に伴って診断可能な症例が増えている。

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