株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

睡眠の科学的知見を提示─生活習慣病に関する記載を充実【健康づくりのための睡眠指針2014】

No.4692 (2014年03月29日発行) P.133

登録日: 2014-03-22

最終更新日: 2017-07-27

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

【概要】厚労省の検討会は24日、新たな科学的知見に基づく「健康づくりのための睡眠指針2014」をまとめた。保健師等の専門家が活用しやすい普及啓発ツールも開発する。

睡眠指針の改定は11年ぶり。12箇条の「指針」(別掲)と「解説」、引用文献等の「参考資料」で構成されている。「若年」「勤労」「熟年」の世代別に、睡眠に関する科学的知見や病気の早期発見のための要点をまとめた。旧指針に比べ、生活習慣病やこころの健康に関する記載を充実させたのが特徴だ。

指針は、睡眠の不足や質の悪化が、生活習慣病やこころの病気につながると明記。特に睡眠時無呼吸症候群は、放置すると高血圧や糖尿病、ひいては不整脈、脳卒中、虚血性心疾患等の危険性を高めるとし、予防には肥満にならないことが重要としている。また、睡眠による休養感の欠如が、うつ病の最も特徴的な症状であることも指摘。

夜間の睡眠時間に関しては、10代前半までは8時間以上、25歳で約7時間、45歳で約6.5時間、65歳で約6時間というように、加齢につれ徐々に減っていくとした上で、「日中の眠気で困らない程度の自然な睡眠が一番」と説明している。

●適度な運動が睡眠を安定
世代別では、若年世代に対し、夜更かしを避けて体内時計のリズムを保つよう勧奨。寝床に入ってからのメールやゲームは、光の刺激で覚醒を助長するとして注意を呼びかけている。勤労世代には、睡眠を「ためる」ことはできず、睡眠不足が蓄積すると回復に時間がかかることや、午後早い時刻の30分程度の昼寝の作業能率改善効果を示した。熟年世代に対しては、若年期と比べて必要な睡眠時間が短くなっていることから、長い時間眠ろうと寝床で必要以上に長く過ごすとかえって睡眠が浅くなると指摘。適度な運動が睡眠を安定させ、熟睡感の向上につながるとした。

指針はその上で、眠れない苦しみを抱えず、身近な専門家への相談が重要と結んだ。

指針は文言修正の上、近く同省ホームページに公表。保健師等の専門家が活用しやすい普及啓発ツールも開発する。

関連記事・論文

もっと見る

関連物件情報

もっと見る

page top