No.4866 (2017年07月29日発行) P.76
仲野 徹 (大阪大学病理学教授)
登録日: 2017-07-28
最終更新日: 2017-07-25
10年近く前、女子医学生のキャリアパス講演会で、二言目には「だから男はダメなのよ」とおっしゃる先生がおられた。かなんなぁと思って聞いていた。はっきり言って、そういうタイプの先生は苦手なのである。しかし、世話役が知らん顔して帰るわけにもいかず、懇親会でお話をすることに。
国立病院機構大阪医療センターの副院長だった山崎麻美先生だ。女性医師の復帰支援をしておられた経験から、一旦仕事を完全に辞めてしまうと復帰は非常に困難になるので、細々とでも続けてもらうのが最善であるとのお話には、えらく納得。
それに、女性医師をサポートするという発想では不十分で、何ら違いのない労働条件で、男女ともが余裕をもって医業を営めるようにしないとダメだとも。目からウロコで、急転直下、一気にファンになった。
京都府立医大の同窓である大森一樹監督の映画『ヒポクラテスたち』の伊藤蘭みたいだった(ホンマですか?)という医学生時代の悲恋、昔の脳外科での女性蔑視など、あっけらかんと明るく話される。まったくの世話好きで、副院長権限をもって院内の研修医同士の縁結びに精を出しておられた。あれやこれやと知るほどに好きになった。
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