PPIとは作用機序の異なるP-CAB,ボノプラザンが登場した
ボノプラザンによる8週間後の逆流性食道炎治癒率は99.0%(ランソプラゾールは95.5%)
ボノプラザンによるH. pylori一次除菌率は92.6%(ランソプラゾールは75.9%)
2014年11月21日に開催された厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会において,酸分泌抑制薬としては,プロトンポンプ阻害薬(proton pump inhibitor:PPI)とはクラスの異なる,カリウムイオン競合型アシッドブロッカー(potassium-competitive acid blocker:P-CAB)であるボノプラザンフマル酸塩(タケキャブ1397904493)を承認して差し支えないということで,薬事・食品衛生審議会薬事分科会に報告された。
そのときの審査結果は,胃潰瘍,十二指腸潰瘍,逆流性食道炎,低用量アスピリン投与時における胃潰瘍または十二指腸潰瘍の再発抑制,非ステロイド性抗炎症薬投与時における胃潰瘍または十二指腸潰瘍の再発抑制,そして胃潰瘍,十二指腸潰瘍,胃MALTリンパ腫,特発性血小板減少性紫斑病,早期胃癌に対する内視鏡的治療後胃およびH.pylori(Hp)感染胃炎におけるHp除菌の補助に対する有効性が示されて,認められたベネフィットをふまえると安全性は許容可能と判断された。2015年2月から発売開始となり,医療現場では,既存のPPIとの使いわけなども含め,新たな課題が提示されている。
本稿では,このP-CABの特徴を紹介し,独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査報告書1)のデータをもとに,その臨床効果について紹介する。
PPIは発売されてから既に4半世紀が経過したが,この間に,①酸に不安定なため腸溶性製剤にする必要があり,疾患や併用薬による胃排出能の遅延や亢進などに作用発現時間や血中薬物濃度が影響される,②十分な効果発現に時間がかかり,最大効果を得るまでに内服開始後約3~5日間を要する,③夜間に認められる酸分泌を十分に抑制できないケースがみられる,④遺伝子多型のある代謝酵素CYP2C19で主に代謝されるため,血中薬物濃度および酸分泌抑制効果に,代謝の速いextensive metabolizer(EM)型と代謝の遅いpoor metabolizer(PM)型の間でばらつきがみられる,などの課題が明確になってきた。
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