株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

【他科への手紙】児童精神科→精神科一般

No.4858 (2017年06月03日発行) P.51

本田秀夫 (信州大学医学部附属病院子どものこころ診療部部長/診療教授)

登録日: 2017-06-02

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 児童精神科医が子ども時代の診療を担当した症例の引き継ぎを、精神科の先生方にはいつも快く受けて頂き大変感謝しております。

    児童精神科の対象の中でも多数を占める発達障害の人たちに対する精神療法について考えることがありますので、この機会に先生方にお伝えできればと思います。

    発達障害は、児童期から老年期に至るまで、すべてのライフステージにわたって支援が必要です。しかし精神科では、成人期の発達障害の人たちに対する診療ストラテジーが確立していません。私は、発達障害の人たちに対して、外来で積極的に精神療法を行う必要があると考えています。

    いま、精神科クリニックはどこも大変混雑しています。薬物治療を中心とした短時間の診療とならざるをえず、薬物治療が不要な人は終診となってしまいがちです。発達障害の場合、様々なストレスや心の傷に由来する併存症への対応には、薬物治療が行われます。一方で、薬物治療を特に必要としない発達障害の人たちもいます。特に子どもの頃から児童精神科医が関わってきた人たちでは、むしろそのようなケースが多い。しかし、このように薬は必要としなくても、精神科医療が不要であるということは決してありません。定期的に生活状況を確認し、ちょっとした困りごとに対して助言をすることが、二次的な併存症予防にはきわめて有効です。

    残り516文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    もっと見る

    関連物件情報

    もっと見る

    page top