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(18)精神保健福祉法【第2章 用語解説】[特集:向精神薬 総まとめ]

No.4709 (2014年07月26日発行) P.94

小野賢一 (東京女子医科大学病院神経精神科精神保健福祉士,ソーシャルワーカー)

登録日: 2016-09-01

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▶概要

精神保健福祉法(精神保健及び精神障害者福祉に関する法律)は,精神障がいを有する人への医療と保護,社会復帰の促進と自立と社会経済活動への参加の促進のための必要な援助,発生と予防その他国民の精神的健康の保持および増進により,精神障害者の福祉の増進・国民の精神保健の向上を図ることを目的とした法律である。
日本の精神保健にまつわる歴史は,昭和25年に精神衛生法が制定されるまで,治安養成の強い「私宅監置」と呼ばれる収容概念が主であったが,精神衛生法が制定されてからはいわゆる病院収容時代,昭和59年に発生した宇都宮病院事件を契機として,入院医療を中心とした治療体制から地域におけるケアを中心とした体制への転換(社会復帰)の理念を明記した精神保健法(昭和62年),障害者基本法(平成5年)に精神障がい者も明確に位置づけられたことにより,人権に配慮した精神医療の確保や社会復帰の促進に,自立と社会参加の促進のための援助を加え,障害者福祉の要素を法の枠組みの中に組み込み,制定された。
精神保健福祉法では,精神障害者保健福祉手帳の創設をはじめ,人権に配慮した医療の確保としての入院形態の位置づけ,精神科救急医療の確立や,退院の促進,社会復帰への支援体制などが規定されている。
2014年4月に法改正がなされ,入院形態に関して家族の義務の免除,地域生活を円滑に行うための体制の整備など,精神疾患を有する人がどのように地域生活での暮らしを円滑に行うことができるか,という視点がより組み込まれている。

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