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(15)発達障害【第2章 用語解説】[特集:向精神薬 総まとめ]

No.4709 (2014年07月26日発行) P.90

河野美帆 (東京女子医科大学精神医学教室)

登録日: 2016-09-01

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▶沿革

通常使用される発達障害とは,行政用語の側面が大きく,心理機能の適正な発達および円滑な社会生活の促進のために早期から発達支援を行うことを目的として2005年に制定された発達障害者支援法で「自閉症,アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害,学習障害,注意欠如・多動性障害,その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」と規定された。

▶分類

この定義によれば,広汎性発達障害(自閉症,非定型自閉症,レット障害,アスペルガー症候群)や学習障害(読字障害,書字表出障害,算数障害),注意欠如・多動性障害を主とし,そのほかに,運動能力障害(発達性協調運動障害),コミュニケーション障害(表出性言語障害,受容・表出混合性言語障害,音韻障害,吃音症)といった症候群をさす。知的障害は単独では含まれないが,伴うことはある。

▶定義

行政政策上の発達障害と学術的な発達障害は,一致しない場合がある。臨床で用いられる操作的診断基準のひとつである米国精神医学会のDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders(DSM)では,2013年出版のDSM-5において,神経発達障害群の中に知的能力障害群も含まれ,コミュニケーション障害群,自閉症スペクトラム障害,注意欠如・多動性障害,限局性学習障害,運動障害群とされている。

▶概要

環境や成長につれて症状は変化し多様化するため個人差が大きく,また,発達障害があることに気づく時期は本人を取り巻く生活環境の在り様によってかなり幅が出る。障害ごとの特徴がそれぞれ少しずつ重なり合っている場合もめずらしくない。発達障害の人も家庭環境や教育環境などと様々な影響を受けながら一生を通して発達し,改善していく課題が多く存在する。早期の気づきによる1人ひとりの特性と発達段階の理解が大切であり,個々の能力を伸ばせるようなその人に合った支援を行い,ライフステージのどの時点にあってもその人らしく生きやすくなるようにサポートしていくことが重要となる。

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