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(14)レビー小体型認知症(DLB)【第2章 用語解説】[特集:向精神薬 総まとめ]

No.4709 (2014年07月26日発行) P.89

村岡寛之 (東京女子医科大学精神医学教室)

登録日: 2016-09-01

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▶疾患概念とその背景

レビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies:DLB)は1976年に小阪が症例報告1)し,認知されるようになった疾患である。アルツハイマー型認知症とパーキンソン病の特徴を併せ持ち,疾患概念の普及とともに患者数も多いことが明らかになっている。剖検で確定診断された老年期認知症患者の15~20%を占め,アルツハイマー型認知症についで多いとされている2)
レビー小体型認知症の中核症状は,①注意や覚醒レベルの変動を伴う認知機能の動揺,②現実的で具体的な内容の繰り返す幻視,③特発性Parkinsonism,である。進行性の認知機能低下に加え,中核症状のうち2つあればprobable DLB,1つあればpossible DLBと診断する。
また,臨床的に診断を示唆する所見として,a)REM睡眠時行動異常,b)抗精神病薬に対する過敏性,c)SPECT/PETでみられる大脳基底核のドパミントランスポーター取り込み低下,が挙げられており,中核症状①~③の1つと示唆症状a)~c)のうち1つが確認されればprobable DLBと診断できる。
そのほかDLBでよくみられる症状(支持症状)としては,繰り返す転倒や失神,一過性意識障害,自律神経障害,幻視以外のタイプの幻覚,系統的な妄想,抑うつ状態,CT/MRIでの軽度の海馬萎縮,後頭葉を含む全般的大脳皮質血流低下,MIBG心筋シンチでの取り込み低下,側頭葉一過性鋭波を伴う脳波の徐波化,が挙げられている。

▶治療

認知機能の改善にはコリンエステラーゼ阻害薬の有用性が知られている3)。わが国で使用可能な薬剤であるドネペジルによってmini mental state examination(MMSE)の得点が有意に高くなったという報告がある。メマンチンに関しては一貫した報告はないが,現在検討が続いている4)


●文献
1) 第7回レビー小体型認知症研究会:[http://www.d-lewy.com/news/2013/meeting_2013_summary. pdf]
2) 朝田隆, 他:ここが知りたい認知症の画像診断Q&A. harunosora, 2013.
3) 厚生労働省:みんなのメンタルヘルス 認知症 [http://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/detail_recog.html]
4) Ikeda M, et al:Dement Geriatr Cogn Disord. 2013;36(3-4):229-41.

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