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前立腺癌に対する重粒子線治療 【治療期間は3〜4週間で,治療効果が高く,副作用が少ないことが特徴】

No.4845 (2017年03月04日発行) P.61

粕谷吾朗 (放射線医学総合研究所病院泌尿器腫瘍科科長)

登録日: 2017-03-02

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限局性前立腺癌に対する標準的な根治治療は,手術または放射線治療(外部照射または小線源治療)であり,病態に応じてホルモン治療(LH-RH agonist±抗アンドロゲン薬)が併用される。

外部照射のひとつである重粒子線治療には炭素イオン線が用いられ,X線と比較して,高度な線量集中性(少ない副作用)と良好な生物学的効果(高い治療効果)を有する。前立腺癌に対する重粒子線治療の期間は3〜4週間で,X線による外部照射(2カ月)より短い。また,手術や小線源治療とは異なり,麻酔は不要で,治療中の痛みや熱感もない。

stage C,PSA>20ng/mL,Gleason score≧8のうち少なくとも1つを有する高リスク群に対する重粒子線治療成績は,5年生化学的非再発率が89.5%,5年原病生存率が98.5%であった。また,主な晩期障害は直腸出血と膀胱出血で,Grade 3以上の発生率はそれぞれ0%,0.2%であった1)

重粒子線治療は,特に高リスク群に対し他治療よりも優れている可能性があり,また,その生化学的再発患者は生命予後が有意に悪化することが示された2)

本治療の欠点は,いまだ不十分なエビデンスと高額な治療費(約314万円)である。今後は,より高いエビデンスの構築と保険収載をめざし,前立腺癌高リスク群に対し,国内の5つの重粒子線治療施設による多施設前向き臨床試験が計画されている。

【文献】

1) 粕谷吾朗, 他:日臨. 2016;74(増刊3):546-51.

2) Kasuya G, et al:Cancer. 2016;122(20):3225-31.

【解説】

粕谷吾朗 放射線医学総合研究所病院泌尿器腫瘍科科長

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