ゾニサミドは日本で開発され,臨床的観察から抗PD作用が発見された
進行期PDの運動症状改善には25mg,ウェアリング・オフ現象改善には50mgが認可されている
線条体ドパミン放出増加,チロシン水酸化酵素活性増加,モノアミン酸化酵素B阻害,T型Caチャネル阻害,δ1受容体アゴニスト作用など多彩な作用機序により抗PD作用を発揮する
星状グリア細胞活性化を介して抗酸化的にドパミン神経保護作用を有する
早期PDの運動症状にも有効である可能性がある
抗てんかん治療薬であるゾニサミドがパーキンソン病(Parkinson’s disease:PD)に有効であることが,2001年,Murataら1)により初めて示された。すなわち,日常動作に介助を必要とする進行期PDで,てんかん発作を併発した症例にゾニサミド300mgを投与したところ,てんかん発作の消失とともに,ほぼ完全に自立するまでにPD症状が改善したと報告した。続いて,ウェアリング・オフ現象を有する進行期PDを対象として小規模な臨床的検討を行い,ゾニサミド50~200mgを従前薬に追加投与したところ,オフ時の運動症状,ADL(activity of daily life),オフ時間などが改善したことを報告した。
その後,臨床試験,作用機序に関わる基礎研究が続けられ,ゾニサミドは現在,PD治療薬として臨床に供されるに至った。
本稿では,そうした経緯を簡単に紹介し,ゾニサミド研究の現状,今後の展望などについてまとめる。
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