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(2)日本発の非ドパミン系パーキンソン病治療薬:イストラデフィリン [特集:パーキンソン病治療薬の新たな展開]

No.4715 (2014年09月06日発行) P.25

永井将弘 (愛媛大学医学部附属病院臨床薬理センター長)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-03-27

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  • イストラデフィリンとはドパミン受容体,ドパミン代謝酵素,レボドパ代謝酵素に作用しない非ドパミン系PD治療薬である

    日本で開発された世界初のアデノシンA2A受容体拮抗薬である

    大脳基底核神経回路内の間接路に特異的に発現しているアデノシンA2A受容体を阻害することにより,間接路の過剰興奮を抑え,抗PD効果を発揮する

    ウェアリング・オフ現象を有するレボドパ服用中のPD患者に対し,苦痛に感じるジスキネジアなしのオン時間を有意に延長させた。また,40mg群ではオン時の運動症状改善効果も認められた

    1. 非ドパミン系パーキンソン病治療薬の必要性

    パーキンソン病(Parkinson’s disease:PD)は,中脳黒質のドパミン神経細胞が変性・ 脱落することにより発症する。このため,ドパミン補充療法が現在においてもPD治療の主体となっている。
    ドパミンは血液脳関門を通過しないため,その前駆物質であるレボドパが使用され,治療のゴールドスタンダードとなっている。また,レボドパ,ドパミンの生体内での代謝を阻害するCOMT(catechol-O-methyltransferase)阻害薬,MAO-B(monoamine oxidase-B)阻害薬や,線条体内ドパミン受容体の直接刺激を目的としたドパミンアゴニストも用いられている。
    治療期間が長くなってくると,PD自体の進行やこれらドパミン系PD治療薬の長期使用により,ウェアリング・オフ現象やジスキネジアなどの運動合併症の発現がみられるようになる。
    また,過剰なドパミン補充療法により,薬物依存,病的賭博,性的亢進,買い物依存,摂食亢進,punding(常同的動作の反復)などのdopamine dysregulation syndrome(DDS)が生じる場合がある。逆に,副作用によりドパミン系PD治療薬を十分量使用できない場合もあり,作用機序の異なる非ドパミン系PD治療薬の併用が必要となる機会も多くみられる。
    本稿では,新規作用機序を有する日本発の非ドパミン系PD治療薬イストラデフィリンについて概説する。

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