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外来での抗菌薬使用に手引き作成へ 【厚生労働省】

No.4834 (2016年12月17日発行) P.12

登録日: 2016-12-07

最終更新日: 2016-12-09

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厚生労働省は5日、厚生科学審議会感染症部会の「薬剤耐性(AMR)に関する小委員会」(委員長=渡邉治雄国際医療福祉大院教授)の初会合で、外来で診療に携わる医療従事者向けの「抗菌薬適正使用の手引き」(第1版)のコンセプト案を提示した。

手引きは、今年4月に政府が策定した「AMR対策アクションプラン」(用語解説)に基づくもの。抗菌薬を使うべきか否かを迷う状況での助けになるよう、診断方法や鑑別診断、治療方針、患者・家族への具体的な伝え方を記載。第1版では、基礎疾患のない上気道感染症(感冒)と急性下痢症の2疾病を取り上げ、重点的に解説する。

委員からは、基礎疾患があり入院している患者も対象とすべきとの指摘や、肺炎や尿路感染症について記載を求める声が上がった。厚労省は、手引きの具体的な内容は作業部会で検討し、議論の上で記載が必要と判断された疾病などについては、第2版から追加するとしている。
 
日本では、医療分野における抗菌薬使用量自体は多くないが、幅広い細菌に有効であるものが多いセファロスポリン、キノロン、マクロライドの使用割合が極めて高い。また、ヒトにおける薬剤耐性菌の検出割合についても、肺炎球菌ペニシリン非感受性率が48%、黄色ブドウ球菌メチシリン耐性率が51%(共に2014年)と、カルバペネム系抗菌薬以外は他国と比較して高いものが多い。そのため抗菌薬の適正使用推進により、これらの使用量・使用割合や薬剤耐性率を減らすことが重要とされている。

【AMR対策アクションプラン】:抗菌薬の不適切な使用による薬剤耐性菌の蔓延が世界的な問題となる中で、世界保健機関(WHO)の要請を受けて策定された政府のAMR対策の行動計画。2020年までに目指す抗菌薬使用量や微生物の薬剤耐性率の数値目標を掲げている。

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