厚生労働省の「がん等における緩和ケアの更なる推進に関する検討会」(福井次矢座長)は11月29日に、拠点病院を退院後も在宅で緩和ケアを継続できるよう、「かかりつけ医との連携を強化すべき」との方向性を盛り込んだ「議論の整理」をとりまとめた。
「議論の整理」では在宅緩和ケアや地域連携の現状について、「がん領域では拠点病院を中心に地域連携を行ってきたため、地域包括ケアシステムとの連携が十分行われていない」との課題を指摘。その上で、「拠点病院の緩和ケアセンターや緩和ケアチームは、地域連携の役割を担うために定期的な地域との会議やカンファレンスを行うなど、地域医師会と協力し、かかりつけ医との連携を強化すべき」とした。
具体的には、いわゆる「がん患者二人主治医制」(用語解説)や、拠点病院の医療従事者が地域の施設で共同診療を行ったり、地域の調整役を担う医療・介護従事者が拠点病院の中で活動したりできる連携体制について検討すべきとした。
このほか、現状では約4分の3のがん患者が拠点病院以外の場所で看取られていることから、拠点病院以外の一般病院での緩和ケア提供体制を充実させる必要性を指摘した。
「議論の整理」は、来年6月からスタートする第3期がん対策推進基本計画策定に向け、近く開催される同省のがん対策推進協議会に提出される。