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産婦人科医不足問題:厳しい就労環境の継続浮き彫りに─日産婦、分娩施設集約化の数値目標設定へ

No.4738 (2015年02月14日発行) P.11

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-03-09

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‌勤務医の在院時間増加など産科医療を取り巻く環境の厳しさは改善されていないことが明らかとなった。日産婦は医師不足を補うため分娩施設の集約化に向け数値目標を掲げる方針だ。

日本産科婦人科学会(日産婦)の医療改革委員会は1月25日、「拡大医療改革委員会」兼「産婦人科医療改革公開フォーラム」を開催した。「産婦人科の動向と勤務医の就労環境」をテーマに講演した日本産婦人科医会の中井章人常務理事(日本医大教授)は、同医会が昨年7、8月に実施した全国の分娩取り扱い施設のうち有床診療所を除く1097施設を対象とするアンケート結果(有効回答率71.1%)を報告した。分娩施設の集約化が進む一方で、勤務医の推定在院時間が6年ぶりに増加したことを紹介し、厳しい就労環境が続いていると指摘。「産科医療の安定化にはほど遠い状況」と訴えた。

中井氏は全常勤医師の38.7%に達する女性医師の約半数が妊娠中や育児中であり、そのうち56%は分娩を担当していないことにも着目。一部の医師が妊娠・育児で当直や勤務が緩和されている一方、それ以外の男性医師や女性医師は当直明けでも勤務緩和されていない現状を問題視した。

総合周産期20人、地域周産期10人を目標

こうした現状を踏まえ、日産婦の海野信也医療改革委員長(北里大病院長)は4月に策定する『産婦人科医療改革グランドデザイン(GD)2015』の素案を紹介。①日産婦の新規入会者が臨床研修必修科目から産婦人科が外れた10年度をピークに減少、②若手産婦人科医師の3分の2を女性が占める(図)─ことなどから分娩施設の大規模化・重点化を進める方針を示した。産婦人科常勤医を総合周産期母子医療センターには20人以上、地域周産期母子医療センターには10人以上、それぞれ配置する数値目標を掲げる。

両施設の常勤女性医師の年齢の中央値は、いずれも32歳。海野氏は数値目標について、「妊娠・育児・介護などで当直勤務のできない常勤医が一定数いても、24時間対応体制を確保できる最低限の人数」との考えを示した。

総合診療医との連携も視野

GDではこのほか、産婦人科医不足を補うため、総合診療医や家庭医との連携を盛り込むことも検討されている。

鳴本敬一郎氏(浜松医大特任助教)は「総合診療専門医の周産期への貢献」をテーマに講演。産婦人科専門医のバックアップとスムーズな連携の下、家庭医がローリスクの妊婦健診や分娩管理、外来などを担当し、家庭医担当による経腟分娩が49例に上る石川県の事例に加え、静岡県では日本プライマリ・ケア連合学会の家庭医療専門医4人が、産婦人科専門医の取得を目指し研修中で、中リスクを含めた妊婦健診や分娩管理などを行っていると紹介した。鳴本氏は「少しでも産婦人科診療に関わる医師が増えることは長期的にプラスになる」とし、新たな専門医となる総合診療専門医の周産期への貢献が必要と指摘した。

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