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少量処方容認の事務連絡「さらなる周知必要」 - 「適量処方を実現する会」が特別セミナー [抗認知症薬]

No.4818 (2016年08月27日発行) P.9

登録日: 2016-08-27

最終更新日: 2016-10-30

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【概要】厚生労働省が6月に発出した事務連絡により、抗認知症薬の規定用量未満での処方(少量処方)が事実上容認された。認知症診療に携わる医師の間ではこれを歓迎する声がある一方で、事務連絡の存在が広く認知されていないという課題もあるようだ。


現在販売されている4種類の抗認知症薬は、添付文書に増量規定が記載されている(図)。都道府県によっては少量処方を行った場合、レセプト査定時に保険請求が認められず、医療機関の持ち出しになるケースがあった。これを受け、厚労省は6月に国民健康保険中央会と社会保険診療報酬支払基金に対し、事務連絡を発出。「一律に査定を行うのではなく、診療報酬明細書の摘要欄に記載されている投与の理由等も参考に、個々の症例に応じて医学的に判断」するよう求めた。

●長尾氏「増量規定を絶対視する医師がまだ多い」
少量処方を巡るレセプトカットを問題視し、解決に向けて活動してきた「抗認知症薬の適量処方を実現する会」は21日、都内で特別セミナーを開催。同会代表理事の長尾和宏氏(長尾クリニック院長、写真)は「患者の病態に合わせた薬剤の適量処方は医師として当たり前の仕事。当たり前のことが認知症診療でやっと認められた」と、事務連絡を歓迎した。同会顧問弁護士の久保原和也氏も、「医師の処方権が改めて保証され、全国で統一的な基準による審査を行うよう通達された意義は大きい」と評価した。
一方、事務連絡を巡っては課題も残っている。久保原氏は「摘要欄にコメントのない『少量処方レセプト』はカット可能との解釈もできなくはない」として、審査支払機関への正確な解釈の周知を訴えた上で、「事務連絡は厚労省の内部文書としての性格が強く、存在自体を知らない医師も多い」と指摘。長尾氏は「増量規定には一種の“呪縛”があるようで、添付文書の用量を絶対視している医師はまだ多い」として、臨床現場への周知徹底を図るべきとした。

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