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睡眠時無呼吸症候群(SAS)と心臓突然死との関係は?

No.4811 (2016年07月09日発行) P.59

山口佳寿博 (東京女子医科大学睡眠総合診療センター・ センター長/東京医科大学客員教授)

登録日: 2016-07-09

最終更新日: 2016-12-15

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【Q】

睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome:SAS)と心臓突然死(sudden cardiac death:SCD)との関係についてご教示下さい。 (岐阜県 K)

【A】

米国では,年間40?50万人(一般人口における年間発症率:0.1~0.2%)がSCDで死亡し,その80%は急性心筋梗塞に起因します(文献1)。一方,日本におけるSCDの発症は年間5~7万人,一般人口における年間発症率は0.04~0.05%で米国の1/5?1/2程度です(文献2)。また,急性心筋梗塞によるSCDは30%と低く,米国とは異なる傾向を示しています。
SCDの古典的危険因子としては,高齢,男性,喫煙,激しい運動,高血圧,糖尿病,虚血性心疾患,心不全,心筋症,心室性不整脈などが挙げられますが(文献2,3),近年,SASとSCDの関係が注目されています。SASは治療抵抗性高血圧,虚血性心疾患,心房細動,脳卒中など全身の血管障害に対する危険因子として作用しますが,SCDに対する独立した危険因子としても重要です。
Gamiら(文献3)は,米国の1万人以上の睡眠障害患者(80%はSAS)を対象とした後ろ向き検討で,(1)SASはSCDの独立した危険因子,(2)SASの重症度が高いほど〔無呼吸/低呼吸指数(AHI):20以上あるいは睡眠時最低SO2:78%未満〕SCDの発症頻度が上昇(図1),(3)SAS患者におけるSCDの年間発症率は0.27%であり,SCDの発症が1.4~2.7倍上昇,(4)SCD発症時に急性心筋梗塞が確認されたのは13%,などを報告しました。(4)の知見は,SAS関連SCDの病態はSASと無関係なSCDと質的に異なることを示唆しています。日本人を対象としたSAS関連SCDに関する信頼すべき検討はありません。
SAS患者でSCDを発症しやすいのは,重症SASに加え,古典的危険因子を複数個有する人です。この場合,SASに比べ,前述したSCDの古典的危険因子のほうがSCD発症に対してより強い危険因子であることに注意して下さい。
SAS患者におけるSCDの予防には,古典的危険因子の徹底管理が最も重要です。SASに対する治療がSCDを予防するか否かに関する確実な報告はありませんが,CPAPを中心とする無呼吸抑制治療はSAS関連SCDを予防する有用な手段と考えて間違いないでしょう。

【文献】


1) Priori SG, et al:Eur Heart J. 2001;22(16):1374-450.
2) 心臓突然死の予知と予防法のガイドライン(2010年改訂版).
[http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS 2010aizawa.h.pdf]
3) Gami AS, et al:J Am Coll Cardiol. 2013;62(7):610-6.

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