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第3世代ヒドロキシエチルデンプン製剤 【出血量と輸血率が有意に低下】

No.4809 (2016年06月25日発行) P.52

河野 崇 (高知大学麻酔科学・集中治療医学講師)

横山正尚 (高知大学麻酔科学・集中治療医学教授)

登録日: 2016-06-25

最終更新日: 2016-10-29

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代用血漿剤は,膠質浸透圧の高い輸液製剤で,周術期の循環血液量減少の予防・治療に頻用される。アルブミン製剤は古くから使用されてきた代用血漿剤であるが,原料であるヒト血液の供給不足や感染の潜在的リスクの問題がある。
一方,ヒドロキシエチルデンプン(HES)製剤は,現在世界で最も使用されている代用血漿剤である。HESの分解は,HESの濃度が高く,分子量が大きく,ヒドロキシエチル基に置換されているグルコピラノース環の割合を表す置換度が高く,ヒドロキシエチル基のついている炭素原子位置の2位と6位の割合(C2/C6比)が高いほど遅延する。開発された順に第1,第2,第3世代に分類され,それぞれ置換度が,0.7,0.5~0.62,0.4~0.42となっている。
わが国では,2013年に第3世代6%HES製剤(重量平均分子量130kDa,置換度0.4,C2/C6比9)が発売された。この製剤は,これまで使用されていた第2世代6%HES製剤と比較して置換度は低く,C2/C6比は高くなっており,効果時間は長いが,体内蓄積性が少ない。50mL/kg/日まで使用可能である。
第3世代HES製剤はほかのHES製剤と比較して止血凝固系の影響は最も少ないが,頭蓋内出血を有する患者は禁忌となっている。しかし,最近のメタ解析では,第3世代6%HES製剤はアルブミン,生理食塩水,晶質液などのほかの輸液と比較して,出血量と輸血率の有意な低下が示されている。このことから,第3世代6%HES製剤は周術期の循環血液量減少に対して,効率的で安全に使用できる輸液製剤と考えられる。

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