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炎症性腸疾患における治療目標(treat-to-target)  【糖尿病でのHbA1c値のように,日常臨床で使いやすい治療目標となる指標の開発が求められている】

No.4799 (2016年04月16日発行) P.48

松岡克善 (東京医科歯科大学消化器内科講師)

登録日: 2016-04-16

最終更新日: 2016-10-26

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慢性疾患の治療において,明確な数値目標を設けて,その達成をめざして治療を進める“treat-to-target”という概念が提唱され,日常臨床で実践されている。
糖尿病でのHbA1c値,高血圧症での血圧値,脂質異常症でのLDL-コレステロール値がその代表例である。また,炎症性疾患である関節リウマチでも,DAS(disease activity score)という疾患活動性指標を用いたtreat-to-targetが導入されている。これらの治療目標は,疾患による長期合併症を改善するという,エビデンスに基づいて設定されているところが,重要な点である。
一方で,炎症性腸疾患では長らく症状の緩和が治療目標であった。しかし,症状緩和のみでは,長期予後を変えることができないことが明らかになってきた。現在では,内視鏡的に炎症のない状態である「粘膜治癒」を達成することで,病気の自然史を変えることができるのではないか,と考えられている。しかし,内視鏡は侵襲的な検査であり,頻回に施行することができない。そのため,炎症性腸疾患の治療目標として,日常臨床で使いやすい指標を開発するための動きが始まっている(文献1)。
まだ具体的な指標が提唱されているわけではないが,近い将来,treat-to-targetが導入されることは間違いない。

【文献】


1) Peyrin-Biroulet L, et al:Am J Gastroenterol. 2015;110(9):1324-38.

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