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薬物療法抵抗性の症候性閉塞性肥大型心筋症への経皮的中隔心筋焼灼術  【経皮的中隔心筋焼灼術は中隔心筋切除術とともに中隔心筋縮小術として第一選択治療に位置づけ】

No.4795 (2016年03月19日発行) P.52

前川裕一郎 (慶應義塾大学循環器内科専任講師)

福田恵一 (慶應義塾大学循環器内科教授)

登録日: 2016-03-19

最終更新日: 2016-10-26

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経皮的中隔心筋焼灼術(PTSMA)は,1995年にSigwartがLancet誌に報告して以来,現在に至るまで,十分な薬物療法下にもかかわらずNYHA Ⅱm~Ⅳの心不全症状を有する閉塞性肥大型心筋症例に対して行われているカテーテルを用いた侵襲的治療法である。現在,AHAおよびESCのガイドラインともにPTSMAと中隔心筋切除術を総称した中隔心筋縮小術をクラスⅠとしており,DDDペーシングは中隔心筋縮小術の適応とならない症例など,適応が限られているのが現状である。
2000年代以降,選択的心筋コントラストエコーガイド下でのPTSMAが提唱され,普及することにより,手技に伴う合併症が減少し,効果の確実性が増している。また,突然死予防のためにハイリスク症例を層別化した上で,ハイリスク症例に限り,中隔心筋縮小術施行前にICD植え込みを行うことによって生命予後の改善が図られている。
最近では,心臓CTや心臓MRIといった冠動脈造影および心臓超音波以外のモダリティを使用しての患者選択,予後評価などが行われている。PT
SMA後の長期成績は良好で,自覚症状の改善や左室内圧較差の減少は長期的に維持され,心不全の発生や左室拡大は起こらないとされているが(文献1),患者選択(特に若年および青壮年の症例では中隔心筋切除術が選択されるべき)には慎重を要する。

【文献】


1) 日本循環器学会, 他:2014年版 先天性心疾患,心臓大血管の構造的疾患(structural heart disease)に対するカテーテル治療のガイドライン. 2015.

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