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薬効の科学的評価法 【バイアスを除外し適正に薬物の有効性・ 安全性を評価するための方法とは】

No.4776 (2015年11月07日発行) P.58

小林真一 (昭和大学臨床薬理研究所所長)

登録日: 2015-11-07

最終更新日: 2016-10-26

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臨床試験を通して「適正に薬効評価をする」にはどうしたらよいのであろうか。製薬企業主導による治験では,依頼企業がプロトコルを作成し医療機関に提示するので,医師等研究者には薬効評価の方法が適正に理解されていない現状もある。
薬効を科学的に評価するためには,(1)対象となる被験者(患者)をその疾患の母集団と同様に抽出するために無作為に抽出し,選択バイアスを除外する。比較試験の場合は比較するその両群に無作為に割り付けるべきである。これは絶対必要である。さらに,(2)病態は時間経過とともに変化することが多く,病態の自然経過,また自然治癒等々を勘案すると,対照群にはプラセボ投与が必要である。もちろん,プラセボを投与できない疾患の臨床試験も存在するが,少なくとも対照薬(標準薬)との比較は必要である。また,両群に標準薬を投与した上で一方の群に試験薬を追加(上乗せ)する試験も考えられる。(3)患者(被験者)や医師等研究者の先入観により,薬効評価に影響が出ることは臨床研究でよくある。この先入観を除外する方法として二重盲検(遮蔽)法がある。
これらの方法を適切に採用することが科学的薬効評価の基本形ではあるが,臨床試験の薬効評価にはエントリーする被験者数も重要である。もちろん,検証的試験などでは解析可能症例数を適切に算出して実施すべきであるが,探索的(実施可能性)試験,いわゆるパイロット試験では実際に実施可能な症例数で行うこともある。適正に薬物の有効性・安全性を評価することは,その成果を臨床に生かすためにきわめて重要なことである。

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