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男性ホルモン部分欠乏によるLOH症候群

No.4767 (2015年09月05日発行) P.53

永井 敦 (川崎医科大学泌尿器科教授)

登録日: 2015-09-05

最終更新日: 2016-10-26

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加齢による男性のアンドロゲン低下に伴う症状を呈する状態をLOH(late-onset hypogonadism)症候群といい,筋力低下,骨粗鬆症,貧血,認知力低下,メタボリックシンドローム,心血管疾患,下部尿路症状,抑うつ状態,性腺機能障害などの症状が出現する(文献1)。
診断はテストステロン値の測定によるが,日本では遊離テストステロン値で判定することが推奨されている。テストステロン濃度には日内変動があり,起床時にピークとなるので午前中に採血することが望ましい。血中遊離テストステロン値が8.5pg/mL未満を低値群,8.5pg/mL以上11.8pg/mL未満を境界域と判定する。そのほか,血液生化学検査,耐糖能検査などを行う。
遊離テストステロン低値群ではテストステロン補充療法が有効である。境界域群では有効率が50%程度となるが,補充療法を試みてもよい。50歳以上の男性に補充療法を行う場合は,あらかじめPSAを測定し,前立腺癌を否定しておく。
治療はテストステロン補充療法が主体である。エナント酸テストステロン125mgを2~3週ごとに,あるいは250mgを3~4週ごとに投与する。hCG療法を行う場合もある。その場合は3000~5000単位を週1~2回投与する。そのほか,男性ホルモン軟膏が市販されており,軽症例には軟膏の適量塗布を行う。最近では,テストステロン補充はアンチエイジングにつながるという認識が広がっている。

【文献】


1) 日本泌尿器科学会・日本Men’s Health医学会「LOH症候群診療ガイドライン」検討ワーキング委員会:日泌会誌. 2007;98(1):1-22.

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