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パーキンソン病のバイオマーカー: 非運動症状について

No.4733 (2015年01月10日発行) P.47

永野義人 (広島大学脳神経内科)

松本昌泰 (広島大学脳神経内科教授)

登録日: 2015-01-10

最終更新日: 2016-10-26

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パーキンソン病(PD)は振戦,固縮,無動,姿勢反射障害を4大徴候とする原因不明の神経変性疾患である。4大徴候に代表される運動症状に加え,自律神経障害,睡眠障害,認知機能障害といった非運動症状(NMS)を伴うことが多く,PDと診断される数年~十数年前から出現していることから,NMSが臨床的なバイオマーカーとなる可能性が指摘されている。バイオマーカーとなりうる代表的なNMSとして嗅覚低下,便秘,夜間頻尿,レム睡眠行動異常症(RBD)などが挙げられる(文献1)。
嗅覚低下に関してはPDの病理学的特徴であるLewy小体が初期に嗅球に出現し,その後,神経脱落の主座である中脳黒質に広がることをBraakらが報告しており,病理学的進展にも合致する。便秘,夜間頻尿は自律神経障害により出現するが,PDと診断される前の患者のそれぞれ約40%,50%に認められる(文献2)。RBDはレム睡眠時に悪夢を伴って大声を出したり,四肢をばたつかせる異常行動であるが,PD患者の約50%がRBDを合併し,RBDと診断された患者の約80%がPDを発症したとの報告がある(文献3)。
今後,NMSを含む様々なバイオマーカーによるPDの早期発見が重要となり,進行予防のための治療開発が発展していくと思われる。

【文献】


1) Chaudhuri KR, et al:Parkinsonism Relat Disord. 2011;17(10):717-23.
2) Breen KC, et al:J Neural Transm. 2013;120(4): 531-5.
3) Schenck CH, et al:Sleep Med. 2013;14(8):744-8.

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