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ピボキシル基含有抗菌薬投与による二次性カルニチン欠乏症

No.4730 (2014年12月20日発行) P.51

小杉山清隆 (手稲渓仁会病院小児科主任医長)

有賀 正 (海道大学小児科教授)

登録日: 2014-12-20

最終更新日: 2016-10-26

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カルニチンは体内でも合成されるが,母乳や育児用ミルク(乳児用調整粉乳),肉類などの食品から摂取される栄養素である。長鎖脂肪酸のミトコンドリア内への輸送に必須であるため,欠乏すると脂肪酸β酸化系が機能せず,空腹・飢餓時のエネルギー産生が障害され低血糖をきたす。
ピボキシル(PI)基は経口抗菌薬の腸管での吸収を良くするための側鎖基であり,体内でピバリン酸となりカルニチン抱合を受け,尿中排泄される。
そのため,PI基含有抗菌薬の投与により体内のカルニチンは減少する(文献1)。投与期間の長短にかかわらず,重篤な低血糖による意識障害,痙攣を呈した症例が報告されており,2012年に注意喚起(文献2,3)がなされた。具体的にはセフジトレン-PI,セフカペン-PI塩酸塩水和物,セフテラム-PI,テビペネム-PI,ピブメシリナム塩酸塩がある。
特に5歳以下の乳幼児,また,カルニチン含有量の少ない特殊ミルクや経腸栄養剤を使用している症例への投与には,十分な注意を要する(文献4)。

【文献】


1) Ito T, et al:Tohoku J Exp Med. 1995;175(1):43 -53.
2) 日本小児科学会薬事委員会:日小児会誌. 2012;116 (4):804-6.
3) 医薬品医療機器総合機構:PMDAからの医薬品適正使用のお願い. 2012(8).
[http://www.info.pmda.go.jp/iyaku_info/file/tekisei_pmda_08.pdf]
4) 高柳正樹:医事新報. 2012;4612:50-1.

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